公開日:2023/5/18 最終更新日:2024/10/31
言語聴覚士とはリハビリテーションの専門職のひとつです。この記事では言語聴覚士の仕事内容や就職先、向いている人の特徴を解説します。理学療法士・作業療法士との違いも説明しますので、リハビリテーション職に興味がある方はご確認ください。
1 言語聴覚士とは
1-1 理学療法士・作業療法士との違い
2 言語聴覚士の仕事内容
3 言語聴覚士の就職先
4 言語聴覚士になるには
5 言語聴覚士に向いている人
6 言語聴覚士に向かない人
7 言語聴覚士は言語・聴覚のリハビリテーションの専門家です
言語聴覚士は理学療法士や作業療法士と並ぶ、リハビリテーションの専門職です。国家資格を取得することで言語聴覚士を名乗れます。
また、英語で「Speech Therapy」と呼ぶことから、「ST」と略されることもあります。
言語聴覚士は言語聴覚士法で下記のように定義されています。
e-GOV 法令検索「言語聴覚士法 第一章 第二条」
つまり、言語聴覚士は会話(話す、聞く)などの言語によるコミュニケーションに問題がある方に対して、機能の改善や獲得のための支援を行う職業なのです。
発達の遅れが原因で起こる言語障害や脳卒中による失語障害や構音障害を持つ方など、子どもから高齢者まで年齢問わずに支援の対象となっています。
言語聴覚士と同じリハビリテーション職としてよく挙げられるのが理学療法士と作業療法士です。
言語聴覚士と同様に機能改善を目的とした専門職ですが、実はリハビリテーションの対象者や目的、手段が異なります。具体的な違いは下記の通りです。
理学療法士は日常生活に必要な機能を回復するための物理的な治療を行い、作業療法士は日常生活や社会復帰ができるよう必要な作業の訓練を行います。
一方、言語聴覚士は言語と聴覚に特化した支援を行います。対象者が言語・聴覚機能を獲得できるよう、発声訓練や補聴器の調整を行うのです。
言語や聴覚の支援を行う言語聴覚士。具体的には下記の仕事を担当します。
ここでは、言語聴覚士の仕事内容について詳しく解説します。
認知症や脳梗塞を発症すると、言葉が思い出せなかったり、話したい単語はわかるのに口や舌が思うように動かず音が作れなかったりなど言語障害が発生します。言語聴覚士は言語障害がある方に対し、自分の考えを言葉にできるよう訓練を実施します。
具体的な訓練内容や対象者は下記の通りです。
<言語訓練>
対象者:言葉を発するのが難しい、失語症がある方
訓練内容:聴覚的理解課題、書字課題
<構音訓練>
対象者:呂律が回りにくい、構音障害がある方
訓練内容:口腔体操、音読課題
<高次脳機能訓練>
対象者:記憶・聴覚認知などが難しい方
訓練内容:見当識課題、注意課題、空間認知課題
大人になってから言語機能が低下した方だけでなく、発達の遅延によって言葉が出にくい子どもも訓練の対象です。
言語聴覚士は生まれつき聴力が弱い方や事故・加齢によって聴力障害を持った方を対象に、聴覚が回復するよう支援を行います。
まずは聴覚検査やヒアリングを行い患者の障害の程度を把握。その後、補聴器の調整や人工内耳を使いこなすためのリハビリテーションを実施します。
言語聴覚士は食事がうまく飲み込めないなどの摂食嚥下障害がある方に対し、機能が改善するよう訓練を行います。
具体的には食べ物を使用して機能を高めていく摂食訓練や、口の動きを改善するための基礎訓練などがあります。患者の状態に合わせた訓練内容を選択することが大切です。
言語聴覚士の主な就職先には下記が挙げられます。
ここでは、言語聴覚士の就職先や就職先で経験できる仕事について詳しく解説します。
言語聴覚士の多くが就職しているのが病院などの医療機関です。言語聴覚士協会の調査によると、2022年時点では67%もの言語聴覚士が医療関係の施設に就職していました。
病院では言語や聴覚に障害がある患者に対しリハビリテーションを実施します。
脳卒中などの言語障害は発症してからできるだけ早くリハビリテーションを開始するのが望ましいとされているため、救急外来を有している病院では急性期患者への支援も経験できるでしょう。
言語聴覚士は聾(ろう)学校など特別支援学校や一般の学校の特別支援学級でも働けます。
学校では児童との意思疎通やサポート、ご家族からの相談への対応など、リハビリテーション以外の仕事も任されます。
言語聴覚士としての専門性だけでなく、教育者としての人格も必要とされるためやりがいのある職場でしょう。
ただし、聾学校など特別支援学校で働くには、教員免許と特別支援学校教諭の免許が必要です。
特別養護老人ホーム(特養)やデイサービスなど介護施設では、嚥下(えんげ)障害による誤嚥(ごえん)などを防ぐために、言語聴覚士が食事のサポートを行います。口腔体操や歌唱による機能訓練も仕事のひとつです。
また、介護老人保健施設(老健)では在宅復帰を目的としているため、嚥下機能を向上させ体力をつけるための栄養が摂取できるよう、サポートも行います。
訪問リハビリテーションでは失語症の方や構音障害の方に対し、発声練習や発語に関わる筋肉を鍛えるなど、対象者に合ったリハビリテーションを実施します。
言語聴覚士になるには国家試験に合格し、資格を取得することが必須です。
国家試験を受けるには養成校として指定された大学・専門学校などで所定の単位の取得が必要となります。
2024年2月に実施された第26回言語聴覚士国家試験の合格率は72.4%でした。例年70%前後の合格率があるため、しっかり勉強すれば合格する可能性が高い試験です。
言語聴覚士は、観察力があり、コミュニケーションが得意な人に向いています。
リハビリテーションでは対象者のできるようになりたいことや今できる範囲を把握して、適切な訓練の選択が必要です。
また、障害を持っている方の多くはそれぞれ悩みを抱えており、相手の視点に立って気持ちに寄り添うことが大切です。
そのため、対象者の状態を見抜く観察力や、話を聞き出すコミュニケーション力がある人は言語聴覚士に向いています。
他人に合わせられず、自分のペースで物事を進めたい人はあまり向いていません。
リハビリテーションの進み具合は一人ひとり異なり、計画通りに進まないことが多いです。
計画通りにならないからと口調がきつくなったりイライラしたりすると、患者・利用者に不快感や不信感を与えてしまい、リハビリテーションにも悪い影響を与えます。
言語聴覚士として働きたいのであれば、対象者の気持ちに寄り添いながらゆっくりと時間をかける必要があることを覚えておきましょう。
言語聴覚士は話す、聞くなど言語によるコミュニケーションに問題がある方に対して、機能の改善や獲得のための支援を行う職業です。
言語聴覚士になるには養成校として指定された大学・専門学校などで所定の単位を取得し、国家試験に合格しなければなりません。
資格の取得後は病院や学校、介護施設など幅広い場所で活躍できます。
介護求人ナビでは言語聴覚士の就職先を掲載していますので、就職先に悩んだ時にご活用ください。
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