管理栄養士の就職先は多岐に渡ります。各業界が栄養管理や食育に詳しい管理栄養士を求めているのです。この記事では、管理栄養士の資格を活かせる就職先を業界ごとに解説しますので、就職先で迷っている管理栄養士の方は参考にしてみてくださいね。
1 食を通して高齢者の生活を支援する「介護業界」
2 医療チームの一員として働く「医療業界」
3 食育等の指導も行なう「教育業界」
4 栄養バランスを考えた食品を開発する「食品業界」
5 栄養バランスを管理する「スポーツ業界」
6 管理栄養士の資格を活かしてやりがいのある就職先を見つけましょう
管理栄養士の資格を持っていれば、介護業界にも就職できます。介護業界では支援を必要とする高齢者に介護サービスを提供しています。高齢者にとって栄養バランスの良い食事をとることが重要であるため、管理栄養士が必要とされやすい業界です。
2021年時点における日本の総人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合は29.1%。さらに2040年には35.3%になることが見込まれており、高齢者の割合はますます増えていくでしょう。今後も高齢者の割合が増えていくことから、介護業界が将来性のある職場だと判断できます。
介護保険による介護サービスを利用するのは、要支援・要介護認定を受けた高齢者です。必要な支援内容は利用者個人の事情によってそれぞれ異なるため、介護業界で働くのであれば一人ひとりに合わせたサポートを心がけることが大切です。
介護業界における管理栄養士の役割とは、高齢者向け施設に勤務して適切な食事を提供することです。
施設に入居する高齢者のなかには嚥下機能が低下していたり、硬いものを咀嚼できなかったりする方もおり、上手に食事ができない場合があります。高齢者が栄養をきちんと摂取できるよう、刻み食や流動食に変えるなど一人ひとりの状況に応じた食事を提供する必要があるのです。
また、高齢者のなかには食事の時間を楽しみにしている方も多いです。高齢者が食事を楽しめるよう、施設によっては行事食の企画・実施が行われるところもあります。
管理栄養士が介護業界で活躍できる就職先の例は、以下の2つです。
介護業界で高齢者の食事をサポートする管理栄養士を目指す方は参考にしてみてください。
管理栄養士が活躍できる高齢者施設について、詳しくはこちら
◆特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームとは、常時介護が必要な高齢者や自宅での介護が困難な高齢者のための介護施設です。長い期間入居することの多い特別養護老人ホームでは、一人ひとりの食べやすいスタイルに合わせた食事提供だけでなく、食事の楽しみを感じていただくことも求められます。
◆介護老人保健施設
介護老人保健施設とは、介護を必要とする高齢者が日常生活に戻るためのケアやリハビリテーションを受ける施設です。在宅復帰を目的としているため利用者の入れ替わりが激しいのが特徴です。管理栄養士は利用者の栄養管理を行ない、健康な状態で日常生活に戻れるようにサポートします。
医療業界は直接人の命に関わる職場のためやりがいがありますが、その一方で大きな責任が伴う仕事です。管理栄養士以外にも医師や看護師など国家資格が必要な職種も多いため、医療業界で働くには高度な専門的知識が求められるでしょう。
近年、厚生労働省からは「チーム医療」の推進が求められており、高い専門性が必要なだけでなく、職種を超えたスタッフ同士の連携などといったコミュニケーションも重要視されている業界です。そのため、医療業界で働くのであれば、強い責任感に加えコミュニケーション力も養っておくといいでしょう。チームの一員として問題に立ち向かう精神力も求められます。
医療業界における管理栄養士の役割は、患者一人ひとりの状況・症状に合わせた栄養管理や栄養指導です。病気やケガをしている患者もいるため、一般食の献立作りだけでなく流動食や刻み食などといった特別治療食の提案を行なうことも。
近年では最適な栄養療法の提供を目的とした栄養サポートチームを構成している病院も見受けられます。管理栄養士も栄養サポートチームの一員として、栄養状態の改善が必要な患者や食事が十分に摂取できない患者に対し、栄養補給方法や栄養療法の提案を行ないます。
管理栄養士が活躍できる医療業界の就職先は、主に2つあります。
医療に携わり真摯に患者と向き合う管理栄養士を目指したい方は、上記の就職先を候補に入れてみると良いかもしれません。
◆病院
病院とはケガや病気などを抱える患者に対し医療を提供する、20床以上の入院施設を持つ医療機関です。
管理栄養士はさまざまな問題を抱える患者に対し、治療食の提供や栄養指導、栄養療法を行ないます。具体的には患者の状態に合わせた塩分量や糖質量を考えたり、刻み食やミキサー食に変更したりするといったことが主な仕事です。
◆クリニック
クリニックとは、無床もしくは19床以下の比較的規模が小さい医療機関のことです。クリニックは病院よりも軽い症状を持つ患者を請け負うことが多く、対応しきれない大きな病気をもつ患者を病院に紹介するケースもあります。
病院と比べても患者一人ひとりと接する機会が多くあるのがクリニックです。近年では美容クリニックで健康な方に対する食事や栄養面のアドバイス担当者として管理栄養士が求められていることも。患者のモチベーションを上げるため、栄養に関する知識に加えてコミュニケーションスキルや細かなサポート力が求められます
近年、偏った栄養摂取などを引き起こす食生活の乱れや、極端な肥満・痩身など子供たちの健康を取り巻く問題が深刻化しています。これらの問題を解決するため、「食育基本法」や「食育推進基本計画」が制定されました。
食育基本法では食育の推進が明示され、生涯にわたって心身の健康と豊かな人間形成をするための食育運動が推奨されました。食育基本法に基づいた食育推進基本計画では、5年ごとに食育推進の目標・方針の決定や施策の実行が行われています。
このように、教育業界では子供の食に関する健康が重要視されており、食や栄養に関するプロフェッショナルである管理栄養士が求められているのです。
教育業界の管理栄養士は、食に関する正しい知識や食習慣を教育し、子供たちの健全な成長を支えるという役割を持っています。栄養バランスの取れた献立の作成はもちろん、教育機関における食育を通じて食の重要性を伝えることも、管理栄養士に求められている役割です。
管理栄養士が教育業界で活躍できる就職先は、主に以下の2つです。
子どもたちの食に関連する仕事に興味がある管理栄養士の方は参考にしてみてください。
◆小学校
小学校とは、義務教育最初の6年間の課程を受ける教育機関です。小学校では管理栄養士を持つ教員である「栄養教諭」として働くことになります。栄養教諭は学校給食の運営だけでなく、子どもたちに食生活に関する正しい知識を与えるための食育を行ないます。
◆給食センター
給食センターとは小・中学校などの給食を調理し、提供する施設です。管理栄養士は調理や衛生管理の指導などを行ないます。限られた時間で何百食もの給食を作る必要があるため、施設によっては管理栄養士も調理に関わることがあります。
近年、健康に気を遣う人が増えてきているという背景から「機能性表示食品」や「特定保健用食品」といった特定の健康効果が期待できる製品の開発が進められてきました。栄養面に配慮した商品を開発するうえで栄養に関する知識が必要になることもあり、管理栄養士が求められているのです。
食品業界における管理栄養士の役割は、栄養に関する知識を活かして栄養面のことを考えた商品の企画や開発をすることです。商品の開発を通してユーザーの生活習慣病の予防や健康維持をサポートします。企業によっては顧客の栄養指導を管理栄養士が行なう企業もあるようです。
食品業界の管理栄養士は、主に以下の2つの就職先で活躍できます。
間接的に顧客と関わり、より多くの人に良い食品を届けたいと考えている方は参考にしてみてください。
◆食品メーカー
食品メーカーとは、普段私たちが口にする弁当や加工食品といった食料品の製造・販売や、健康食品やサプリメントの開発などを行なっている企業です。食品メーカーでは栄養を考えるだけでなく、売れる商品を開発しなければなりません。そのため、管理栄養士には栄養面の知識だけでなく市場調査やマーケティング能力も問われます。
◆飲食店
レストランやカフェなどの飲食店でも管理栄養士を募集していることも。
飲食店に就職した管理栄養士は、メニューの開発や調理を担います。管理栄養士が作成したメニューを出すことで「管理栄養士が監修した」というブランディングができるため健康意識の高い顧客を集めたい店舗に求められています。
近年、スポーツ競技者のパフォーマンスを高めるため、栄養管理や栄養サポートに関する需要が高まってきています。スポーツ栄養に関する国際オリンピック委員会の声明には、下記の内容が記されています。
日本語では「食事は運動能力に大きく影響する。すべてのアスリートは身体的・精神的に最大限のパフォーマンスを発揮できるよう運動前・運動中に必要な栄養を摂取すること」を意味する内容です。このように、スポーツ業界では食事による栄養が重要視されており、プロフェッショナルである管理栄養士の存在が求められています。
スポーツ業界での管理栄養士は、スポーツをする人に向けて栄養に関する知識を活かしたサポートを行ないます。スポーツ選手や競技者の栄養・食事管理や食環境を整えるのも管理栄養士の仕事です。
スポーツ業界では、日本栄養士会・日本スポーツ協会認定のスポーツに特化した資格「公認スポーツ栄養士」という資格もあります。公認スポーツ栄養士の資格を取得しスポーツに特化した栄養に関する知識を身に付けることで、サポートの幅が広がるでしょう。
スポーツ業界における管理栄養士の主な就職先は以下の2つです。
スポーツ選手を支えたい、スポーツに関わりながら管理栄養士として働きたい方は参考にしてみてください。
◆スポーツジム
スポーツジムとは筋肉を鍛えるための機器や道具などが置いてある屋内型の運動施設です。管理栄養士は日常的な食事や栄養管理のアドバイスを行ない、ダイエットや身体づくりでスポーツジムに通う利用者をサポートします。また、スポーツジムのインストラクターとして個人に合わせたトレーニングの提案や指導を行うこともあります。
◆企業
管理栄養士は、プロのスポーツクラブを運営している企業や、プロのスポーツ選手に向けて食事を提供している企業でも活躍の場があります。主に選手の身体をサポートするメニュー献立の作成や、食事の作成、栄養指導などを行ないます。栄養に関するプロフェッショナルとしてスポーツ選手の体づくりに繋がる大切な役目を担っているのです。
管理栄養士の就職先は多岐に渡ります。直接栄養を管理する介護業界や医療業界、教育業界だけでなく、間接的にサポートする食品業界やスポーツ業界など、活躍できる場所はさまざまです。
自分が関わりたい業界や支えたい人をベースに、就職先を探してみると良いかもしれません。
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今後も高齢者の割合が増えていくこともあり、介護業界は将来性のある職場です。高齢者のより良い暮らしを支える仕事を探しているのであれば、介護求人ナビを活用してみてくださいね。
■管理栄養士とは?仕事内容や給料、栄養士との違いまでわかりやすく解説
■管理栄養士の資格が活かせる就職先は?業界別におすすめの職場を紹介
■高齢者施設での管理栄養士の仕事内容は?役割や給料、働き方を詳しく解説
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