◆認知症型グループホーム(正社員/介護職・管理者) → 居宅介護支援事業所・看護小規模多機能型居宅介護事業所(正社員/ケアマネジャー・管理者)
O・Hさん(女性・34歳)
●認知症型グループホーム(勤務期間:5年/月給手取り約27万円/ボーナスあり)
●看護小規模多機能型居宅介護事業所(勤務期間:1年/月給手取り約24万円/介護福祉士手当・介護支援専門員手当・計画作成研修手当・ボーナスあり)
介護業界でのその他経験:デイサービス(派遣職員/介護職/5年)
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)
家族構成:長女(6歳)
*O・Hさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
1回目、2回目、
3回目、
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【後悔しない転職のために】働きやすさ重視!研修制度や勤務日数をチェック
不安より新しい仕事への期待が大きかった、初めてのケアマネ業務
ケアマネジャーとして働くなら、地域の高齢者の生活を支える居宅介護支援事業所がいい、と思っていました。
それで、転職先は、居宅介護支援事業所の募集に限って探していました。
いくつか面接を受けさせていただいて、ここに行こうと決めたのは、家から少し離れた事業所でした。
生後7カ月の子ども、長い通勤時間、初めての職場、初めての仕事。
初めて仕事をする土地だったので、地域資源に対する知識や情報はほとんど持っていませんでした。
ケアマネジャーは地域資源を知っていて、つながっていることが手腕でもあります。面接を受けに行った別の事業所では、無謀だと言われたこともありました。
でも、新しいことや、少し困難なことに取り組むときに、ワクワクしてしまう性格。
容易にできそうだと思えることより、かえってやりがいを感じるのです。
ベテランケアマネジャーから学びやすい事業所を選んだ
とはいえ、初めてのケアマネジャーの仕事を、やみくもに始めたわけではありません。面接のときには、事業所の特徴などをよく確認しました。
ケアマネジャーが7人もいる大きな事業所で、主任ケアマネジャーも多く、ベテランぞろい。社内研修も多い。
この事業所なら、私のような新人ケアマネジャーでもいろいろ教えていただけるかな、と思いました。
休日も年間120日以上あるし、有給休暇もあることを面接のときに確認しました。子どもを保育園に入れて働くことになりますから、子どもの病気などで休むときも、だいぶ気が楽です。
法人としても介護業界で優良だといわれているところで、土日はよほどのことがない限り、勤務することはありません。
勤務日数や働きやすさ、休みの取りやすさは特にチェックをして、職場を選びました。
家族の協力を受けて、ケアマネジャーとして社会復帰!
居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして働くことを決めたとき、子どもの保育園のお迎えを母が協力してくれることになったので、実家の母の家のすぐ近くに転居しました。
実家から1時間以上離れたところに住んでいる祖母も、ときどき娘を泊まりで預かってくれると言ってくれました。
これで、子どもの生活には、それほど不安がなくなりました。ありがたいことです。
なぜ、そんなふうに万全な体制を取ってまで働いていたかというと、夫が働くことにあまり積極的ではなく私が働いて収入を増やして生活を安定させる必要があったからです。
母や祖母が協力的だったのも、そんないきさつがあったからでした。
でも、そうした家族の問題とは別に、私は介護の仕事が好きで、介護の仕事を休みたくないという気持ちが強かったのです。
ケアマネジャーの資格を活かして、早く社会復帰したいと思っていました。
【初めてのケアマネ業務】悪戦苦闘しながら一人前のケアマネジャーへ
先輩ケアマネジャーの助けを借りて、1つずつ仕事を覚える日々
ケアマネジャーに転職して1年目はわからないことばかりでした。
グループホームでは管理者をしていたものの、施設介護でしたし、ケアマネジャーは別にいました。
ケアプランの作成をしたこともなかったし、訪問介護事業所などに送るサービス利用票の作り方もわからない。
先輩に質問をしたいけれど、どう質問をしたらいいかもわからないようなありさまでした。
最初の1年は、ただただあわただしく過ぎていっただけでした。
月初めに請求、月中はたくさんの定期訪問、そこで出てくる問題を解決しようとして困惑しているうちに、また月初めがやってきてしまう。
でも、先輩のケアマネジャーはみんなとてもあたたかく、困っているとさりげなく手を差し伸べてくれました。
「自立の機会を奪ってはいけない」
また、利用者さんにどこまで何をしてあげたらいいか悩んでいたときは、「なんでもかんでもやってあげなくていいのよ」と教えてもらい、気が楽になりました。
うちの事業所では、利用者さんが体調を崩してデイサービスを休むようなときも、ご自身でデイサービスに電話していただきます。
「自分でできることは利用者さん自身にやってもらうのも、1つの自立支援。支援者が自立の機会を奪ってはいけない」という考え方で、それが正しいのだと、私も思えました。
事業所の雰囲気やシステムがわかってくると、要領よく質問もできるようになり、仕事の流れも身についてきました。
夢中で1年間を過ごすと、ケアマネジャーはどう動けばいいのかがわかり、後輩を教えることもできるようになりました。
地域の社会資源も把握でき、介護保険サービス以外のインフォーマルなサービスの提供者とも、かなりつながりました。
【実際に転職して成功?失敗?】ケアマネジャーはやりがいがある!
転職、といっても、以前の職場がいやで辞めたわけではなく、妊娠し、つわりがひどくて辞めただけです。以前のグループホームは職場環境もよかったし、管理者として自分の理想とする介護の体制に近づけていけたという自負もあり、手ごたえを感じていました。
それでも、ケアマネジャーとして働いていると、自分が考えたケアプランがやりたい介護のスタイルに近づいていくのを実感できるということに気づき、「ケアマネジャーの仕事は自分にピッタリだ!」と思えました。
1人の利用者さんとじっくりお付き合いし、その方の自立やハッピーな生活のために、どんなサービスを使い、どう組み合わせて生活を作っていくか。ご本人やご家族と一緒になってケアプランを考え、専門性をもって介護を実践していくのがケアマネジャーの仕事だと思います。
取り入れた介護サービスがうまくフィットしなかったり、利用者さんの状態が変わって別の支援が必要になったりすれば、計画を変更して、別の方法でその方を支援できることも、ケアマネジャーの仕事の醍醐味だと思っています。
そう考えると、楽しかったグループホームの管理者の仕事だけをしているより、ケアマネジャーとして奔走している現在の環境のほうが自分に合っている、と思えます。
【社内の異動】居宅介護支援事業所から看護小規模多機能型居宅介護へ
「重度化した利用者さんを救いたい」居宅介護支援での悩み
居宅介護支援事業所でケアマネジャーをしていて、悩まされていたことは、重度化した利用者さんが利用できるサービスが少ないことでした。
病気で入院した利用者さんの退院支援に関わることも多かったのですが、病院で治療をし、胃ろうになったり、呼吸器をつけたり、喀痰吸引が必要になったり、末期がんで自宅にお戻りになったり、という利用者さんを引き受けてくれるデイサービスなどが非常に少ないのです。
そうなると、ご家族が苦労をして自宅介護をするという形になり、ご本人もご家族も疲弊しきってしまいます。
看護小規模多機能型居宅介護の管理者に抜擢!
重度化した利用者さんの支援先も地域の中でくまなく探し、対応をしてきました。そんな姿を、上司は見ていてくれたのでしょうか。
「今度、看護小規模多機能型居宅介護をつくるんだけれど、ケアマネジャー兼管理者として働かないか?」と打診がありました。
看護小規模多機能型居宅介護は、看護師が常駐し、重度化した利用者さんに対して、訪問・デイサービス・泊まりを組み合わせて提供する在宅サービスです。
その事業所は、さらに家から遠いところにあり、通勤は約1時間。まだ小さかった娘の面倒も見なければいけません。
でも、看護小規模多機能型居宅介護は、1つの事業所で看護も訪問介護もデイサービスも泊まりも行うので、利用者さんもご家族も安心できます。自宅で介護を行うご家族の休息としてもとても有効な、社会的にとても意義の大きいサービスだと思います。
「新しいことにチャレンジしたい!」という思いがムクムクと湧いてきました。
母や祖母にも相談したところ、「やってみたら」との力強い励ましを受けたので、会社に承諾の返事を出しました。
そして今は、看護小規模多機能型居宅介護のケアマネジャー兼管理者として、さらなるやりがいを持って仕事にまい進しています。
次回は、看護小規模多機能型居宅介護での現在の仕事内容について、さらに詳しく語っていただきます。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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