◆介護付き有料老人ホーム(派遣社員) → 介護付き有料老人ホーム(正社員/介護福祉士)
O・Fさん(女性・36歳)
●介護付き有料老人ホーム(派遣社員)(勤務期間:1年半/月給手取り約18万円/ボーナスあり)
●介護付き有料老人ホーム(正社員)(勤務期間:3年/月給手取り約25万円/介護福祉士手当・ボーナスあり)
介護業界でのその他経験:療養病床、介護老人保健施設(派遣社員)
保有資格:介護福祉士
家族構成:夫、義母、長男、長女
*O・Fさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目、
2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
【介護職になったきっかけ】コミュニケーション能力が生かせる仕事を探して
最初はアパレルの販売パートに
10代の頃に8歳年上の男性と恋愛し、結婚してそのまま夫の実家で暮らし始めました。
飲食店でのアルバイト程度の仕事しかしたことがなかったし、社会経験のためにも外で働きたかったのですが、夫の両親ともにフルタイムで働いていたので、「お嫁に来たあなたが、主婦をやってちょうだい」ということになりました。
以前は義母が働きながら家事もやっていて、大変だったようです。
すぐに長男と長女が続けて生まれたので、結局アルバイトの仕事すらできず、日々、主婦業に明け暮れていました。まだ若くて家事だってろくにできなかったので、家で家事をじっくりできたことはよかったと思います。
そんなわけで、専業主婦としての10年はあっという間に過ぎました。
しかし、義父が定年後すぐに病気になってしまって、家で療養することになったのです。義母が仕事をやめて義父の看病と家事をやることになり、私が働きに出ることになりました。
どんな仕事をしようか、と悩んだのですが、実は私、高校を中退していて、学歴があまりありません。とにかく家から近くてすぐに働けるところを探して、10代向けファッションの販売店でパートとして働くことにしました。
当初は働く自分が新鮮で、洋服を販売する仕事も楽しかったのですが、30代になり、このまま若い子向けの洋服の販売をし続けていいのか、と不安になりました。
お客さんとの年齢ギャップがどんどん大きくなるし、自分も仕事を通してもっと成長したい。
販売職を通して身に付けたコミュニケーションのスキルを生かして、働きながらさらに高度なコミュニケーション能力を身に付けられる仕事にチャレンジしたいと思ったのです。
介護の仕事こそ、コミュニケーション能力が生かせる仕事
そんなときに思い浮かんだのが、介護の仕事でした。
高齢者の方とじかに接し、生活のお手伝いや機能回復にも関わる介護の仕事は、非常にやりがいがある仕事だと思えたのです。
これからは介護の仕事はますます社会的に必要になるし、意義がある仕事。
長く続けていける仕事だろうという気持ちになり、地元の求人情報誌を見ては、介護職の求人を探し始めました。
いろいろな求人情報を見て、派遣会社に所属して派遣社員として働くことに決めました。
【はじめての介護職】無資格・未経験でも派遣で介護の世界へ!
派遣で働けば給料もよく、夜勤なしでもOK
子どもがまだ小学生だったので、夜勤はしたくなかったのです。
派遣なら、基本的に残業はないし、自分で働く時間を決められるので、家庭と仕事を両立させやすくて助かります。
しかも、介護の資格がなかったにも関わらず、洋服の販売員時代よりも時給が高いのも魅力でした。派遣はアルバイトやパートと比べても総じて時給が高く、資格があれば、正職員と同じくらいの報酬をもらえることも多いですね。
「デイサービスなら夜勤がなくていいんじゃない?」とも言われましたが、デイサービスは送迎があるので、運転免許があることが望まれることが多いです。
それに、私は介護についてはまったく無資格で未経験だったので、他の職員と同じようにケアをすることはできず、迷惑がかかると思ったのです。
派遣で生活援助だけをするほうが、主婦として培った家事能力も発揮できますし、自分に合っていると思いました。
それに、まだ働き始めてから2年弱だったので、正社員としてフルタイムで働く自信がなかった、という理由もありました。
事業所によって異なる介護の仕方に驚き
派遣の仕事で最初に勤務することになったのは、介護付き有料老人ホームでした。
でも、この施設の介護はひどかった。
食事の時間も寝る時間もオムツ替えの時間さえも決まっていて、まるで軍隊みたいでした。
利用者さん本人のご意向などまったくくみ取られず、お水だって無理やり飲まされていました。
自分だったらこんなところで介護するのも介護されるのもいやだな、と思っていたら、3カ月の派遣契約期間がすぐに満了になり、次は病院の療養病床で働くことになりました。
療養病床では、治らない病気を持ちながらベッドに寝ている方ばかりでした。
ベッドで寝ている患者さんの拘束もあり、有料老人ホームとの違いにも驚きました。
そのあとの介護老人保健施設(老健)は、ドクターや看護師、セラピストなど、医療関係者が多く常駐している施設でした。医療関係者の方々とチームを組んで仕事ができたので、とても勉強になりました。
資格がない私のことも介護の専門職として尊重してくれ、わからないこともいろいろと教えてもらえたので、とてもよかったですね。
看護師さんに教えてもらった排便コントロールの仕方などは、今でも非常に役立っています。
【1度目の転職】夫の転勤…転居先でも介護の仕事を続けることに
介護の仕事を覚えた頃に、夫が転勤に
派遣として介護の仕事を始めて1年半が経った頃、夫に転勤の辞令が出ました。
家から通える距離ではなかったので、夫が単身赴任をして、私と子どもたちが夫の実家に残ることも検討しましたが、「やはり家族は一緒に住まないと」という義母の一言で夫とともに転居することに。
楽しく働いていた老健での仕事も、もうできなくなりました。せっかく仕事を覚えたのに、とても残念でした。
介護の専門職だと考えられるようになっていた
しかし、これもひとつのよい転機だったと思います。
それまでは「学歴もあまりないし、職業経験もうすい」と思っていましたが、介護職としての経験が長くなってくると、「私は介護の仕事で専門職としてがんばっている」と人に堂々と言えるようになったんです。
自信もついてきたので、転居先でも派遣会社に登録し、介護付き有料老人ホームや老健などで1年半ほど働きました。
【2度目の転職】夫の転勤で実家に戻ることに…また介護の仕事がしたい!
夫の転勤を機に仕事をやめることに
介護職としてのスキルや経験が増えてきて、仕事がおもしろくなってきた矢先に、夫がまた異動で、実家の近くに戻ることになりました。
ようやく新しい土地に慣れ、共感できる介護のポリシーを掲げる有料老人ホームで働くことができ、「もっとこうしたい」「ああしたい」という思いもわいてきたところでした。
でも、自分だけが残るわけにもいきませんし、中学生になった子どもたちの進学のためにも、腰を据えたほうがいいに決まっています。
主婦はどうしてこう、周囲の人たちに振り回されるんだろう、と思いながらも、引っ越しの準備をしました。
夫の実家から離れている間に義父が亡くなり、悲しみに暮れる義母を支える必要もあったので、しばらくは仕事を探す気になれませんでした。
介護の勉強会での出会いが人生を変えるきっかけに
でも、介護の仕事をもっと極めたいという気持ちはつのるばかりです。
家事の合間を縫っては、勉強会に出かけるようになったのも、この頃からです。
そんな中、勉強会で自社の有料老人ホームの介護について説明していた講師の方に名刺をいただく機会がありました。
この方との出会いが、私の介護職としての人生を変えてくれたのです。
のちに、この有料老人ホームに就職することになりました。
次回は、現在の職場での環境や働き方について、Oさんの思いをお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
*O・Fさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目、
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