訪問介護事業所に転職したけど、施設での介護と違いが!予想外に責任の範囲が広くなった。これまでの経験が通じない。自宅に訪問するのがツライ。こんなはずではなかったのに…。
ここでは、「訪問介護事業所」に転職した先輩たちの失敗談を、介護求人ナビ編集部からのアドバイス付きでご紹介。せっかくの転職を失敗に終わらせないためにも、ぜひ参考にしてください!
《事例1》パートばかりの職場に、正社員として転職…荷が重すぎです!
31歳/女性/ゆきの
老人ホームから訪問介護事業所に転職。訪問介護の仕事は初めてですが、やるからにはキャリアを積もうと、サービス提供責任者(サ責)候補として正社員の道を選びました。
職員はほとんどパートや登録ヘルパーさんたちで、急な欠勤の穴埋めや、要介護度の高い方の担当が正社員の私にどんどん回ってきます。訪問介護のスキルを少しずつ覚えたいと思っていたのにいきなり即戦力扱いで、正直しんどい。パートから始めるべきだったのかな?
《アドバイス》
訪問介護事業所はパートや登録制のスタッフが多いのが特徴。
自分の都合に合わせて働く時間を決められることや、家事経験を活かせることから主婦の人やダブルワークの人も活躍しています。
そうした非常勤スタッフが多い職場に正社員として転職する場合、以下のような点を事前に確認しておきましょう。
●パートと正社員の仕事内容はどう違う?
●訪問介護が初心者で正社員となった場合、どのような仕事内容を求められる?
●訪問介護に必要な知識や技術に関する研修はあるのか?
●一人で訪問できるようになるまでのサポート体制や期間はどれくらい?
介護業界では人手不足なこともあり、訪問介護が初心者でも、老人ホーム等での介護職経験がある方や介護の有資格者は、即戦力として採用されることが多いでしょう。
即戦力としての自信がない場合や、少しずつ学んでいきたいという希望があるなら、面接ではっきり伝えることが大事です。
施設と訪問介護では、同じ介護でも仕事内容が異なります。具体的に確認しておくことがミスマッチを防ぐポイントです。
また正社員で転職した場合、いずれはサービス提供責任者(サ責)としてスタッフをとりまとめることも期待されている場合があるでしょう。法人側は一刻も早くサ責となって活躍してほしいと考えているかもしれません。
働き始めてから考えればいいなどと先送りせず、転職活動の時点で次のような点も確認しておきたいものです。
●サービス提供責任者になると、仕事内容はどう変わる?
●サービス提供責任者になるまでの流れ・期間は?
今回のケースでは、法人側が期待している働き方とあなたの思惑にミスマッチが生じてしまったようですね。
どのような転職でも、新しい仕事や職場に慣れるまでは、思うように仕事ができず重荷に感じたり、ストレスがかかったりするものです。
仕事内容が異なるとはいえ、あなたには施設で培った介護経験がありますし、技術も備わっているでしょう。
ぐらついている自信を取り戻し、まずは目の前の仕事に集中し、一日も早く訪問介護に慣れるようにしてみてはいかがでしょう。
今回は、キャリアアップを視野に入れての転職だったはず。
今後、サ責として経験を積めば、管理者やケアマネジャーなどへのキャリアアップにも活かされるでしょう。
ここを踏ん張りどころと捉えて、頑張ってみてはいかがでしょうか。
《事例2》施設での介護経験やスキルが通用しない! 訪問介護に向いていないのかも…
50歳/女性/マキコ
10年間ずっと同じ特別養護老人ホームに勤務し、リーダーも務めたんですが、夜勤がつらくなって登録制の訪問ヘルパーに転職。仕事の手際や介護技術には自信があったのに、訪問介護ではケースバイケースの対応を求められ、これまでのスキルが通用しないんです。要介護度が低い利用者様が多いから、特養での身体介護の経験もあまり発揮できません。
私は訪問介護には向いていないのかも…。でも今さら夜勤のある特養に戻るのもキツイし…。悩んでます。
《アドバイス》
施設の介護と訪問介護では、求められる仕事内容に以下のような違いがあります。
●施設では統一した介助のルールがあるが、訪問介護は各家庭のやり方に合わせる必要がある
●施設は身体介助がメインだが、訪問介護では、調理・洗濯・掃除等の家事援助も業務に含まれる
●訪問介護は同居家族と顔を合わせる機会も多く、そのやりとりも重要になる …など
あなたがこれまで働いていた特別養護老人ホームは、要介護度が高い入居者が多い施設。したがって身体介助の高い技術が求められます。
また、施設としてある程度統一したやり方で入居者のみなさんにサービスを提供します。
それによってスタッフ全員が連携して、スピーディーに仕事を進めることができるのです。
一方で訪問介護では、訪問する家ごとに間取りも違えば、家具や台所用品も違います。
そのなかで、それぞれのご要望に臨機応変に応えながら、一人ひとりの生活に寄り添った介護をしなければいけません。
まったくやり方が違う環境に転職したのですから、最初はとまどうのも無理はないと思います。しかし特別養護老人ホームでの経験が無駄になるわけではありません。
訪問介護の利用者にも、要介護度が高い方や認知症の方もいらっしゃいます。
そうした利用者やご家族にとって、あなたがこれまで磨いてきた技術や、重度な方を数多く介護してきた経験はきっと安心につながることでしょう。
あなたが「訪問介護の仕事には向いていない」と感じるのは、環境の違いにまだ順応できていないだけかもしれません。
もう少し訪問介護を続けていけば、そこで新たに得ることもあるはずです。マンツーマンの介護ならではの気づきや、やりがいもあるでしょう。これまでにない経験を積むチャンスと考えることもできます。
しかし、施設と訪問介護とではそれぞれ向き・不向きがあります。職場によっても環境は違いますから、よく考えた上で、別の転職先を探し、そこでこれまでのスキルを活かすという選択肢もあります。
夜勤がつらいということなので、日勤専従の施設介護の求人を探してみる方法を検討してもいいかもしれませんね。
《事例3》ご家族が利用者様につらく当たるのを見て、胸が痛くて仕方ありません…
33歳/女性/りつこ
老人ホームから訪問介護のヘルパーに転職し、仕事にはやりがいを感じています。しかし、訪問先のご家族が利用者に対してきつい言葉をかけている場面を何度か目撃してしまい、胸を痛めています。
自分に何かできないかと上司に相談したところ、プライベートに立ち入りすぎるのはよくないと言われました。今後もこういう場面を目にするのかと思うと、続けていく自信がなくなってきます…。
《アドバイス》
家族から心ない言葉を投げかけられる利用者を見て、あなたが胸を痛めるのも、「なんとかしてさしあげたい」と思うのも、自然なこと。
しかし、虐待などの明白なケースは別として、第三者である訪問ヘルパーが家族の接し方について口を出すことは難しいでしょう。ご家族にもそれぞれの事情があります。
では、訪問ヘルパーとしてあなたができることは何でしょうか。
まずは、利用者に対してできることです。
もしあなたが、そのお宅の訪問をストレスと感じているとしたら、それはきっと利用者にも伝わってしまいます。それでは利用者も楽しくありません。
介護のプロとしてできることは、あなたが訪問している間、いかに楽しく、心穏やかに過ごしていただけるかに知恵を絞ること。
ぜひ利用者と密にコミュニケーションをとり、困っていることや悩みを吐き出してもらいましょう。
もうひとつは、家族に対してです。
慣れない介護に疲れ、精神的に参っている状態かもしれません。
あるいは介護の知識が少ないために、どう接すればよいかわからない苛立ちが、きつい言葉になっているのかもしれません。
家族のストレス軽減も重要です。まずは、あなたがあたたかい言葉をかけてあげてみてはいかがでしょうか?
また、介護に役立つ本を勧めたり、介護カフェなどの息抜きができる場所を提案してみるのもいいかもしれません。
訪問介護は、家庭を訪問するので、利用者のプライベートや家族の様子が自然と目に入ってきます。望まずとも「家政婦は見た」状態になり、とまどうケースもあるでしょう。
しかし、あなたが利用者一人ひとりの気持ちに思いを寄せられるということは、あなたが訪問介護の仕事に向いている証拠でもあります。
普段の生活に深く関わる訪問ヘルパーだからこそ、利用者や家族のわずかな変化にも気づくことができます。そのとき、介護のプロとしてできることを考え、行動に移すことが大事な役割と言えるでしょう。
それでも、どうしてもつらいと感じるのであれば、もう一度、老人ホームなどの施設に戻ることを再検討するのも一つの選択肢です。
●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●
介護求人ナビの求人数は業界最大級! エリア・職種・事業所の種類など、さまざまな条件で検索できます