毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「条件を絞りに絞って見つけた仕事」という話題について紹介します。
条件重視で、ある業界から介護業界へ転職
仕事内容、勤務時間、休日、勤務地など……仕事を探す際に重要視する条件は人それぞれだが、やはり一番気になるのは“お金”。
介護の仕事は給与が良くないと誤解している人は多いが、現在、都内の介護付き有料老人ホームで働くスガワラさんは、条件を絞りに絞って吟味した結果、介護業界にたどり着いたという。
短大を就職後にアパレル関係の会社に就職したスガワラさん。ファッション関係の仕事に就くのは子どもの頃からの憧れだったが、現実は厳しかったそうだ。
スガワラさんはいう。
「私は子どもの頃からオシャレが大好きで、就職活動をした会社もアパレルや美容関係など、ファッション系の会社ばかりでした。
希望が叶い、女性に人気があるアパレルブランドに就職できましたが、仕事は辛かったですね。見た目は華やかですが、実際には力仕事が多く、1日中立ちっぱなしで、いつも足がパンパンでした。
昼ごはんを満足に取る時間もなく、残業もたっぷりあり、土日祝日は完全出勤なので、友人とも滅多に遊べません。しかも手取り月収は15万円ほどでした」
転職先の条件は「月給25万円以上」「正社員」「自宅近く」
実家暮らしであれば手取り15万円ほどの給与でもなんとか生活できたかもしれないが、就職を機に地元を離れ1人暮らしを始めていたスガワラさんは、ギリギリの生活に嫌気が差し、転職を決意。あえて条件を狭めて転職先を探すことにしたという。
「ずっと憧れていた仕事を辞めてしまったので、それなら今度はとにかく『好条件の仕事』にこだわろうと思いました」と語るスガワラさんが転職活動中に挙げていた条件は、
・月給25万円以上
・正社員
・特別な資格がなくても働ける仕事
・自宅から30分以内で通えるところ
という、ワガママなもの。
「ワガママを言いたい放題言って仕事を絞り込むと、私の希望の条件に合致したのが介護業界でした」と語る。
介護業界では、介護職の取り合い状態?!
介護業界の人手不足は深刻で、とりわけ人手不足が顕著なのが東京都だ。
2018年12月には、都内の介護職の求人倍率が7.46倍に到達。これは1人の就職希望者を7軒の介護事業者が取り合うということだ。
働く人の取り合いになっているということは当然、“雇う側”は良い条件を提示してくる。
結果的にスガワラさんは“満額回答”の介護事業所を見つけ、介護職として働くことになったのだ。
接客経験も趣味のネイルも、介護に活かして活躍中!
「今はまだ介護職の見習いのようなもの」と語るスガワラさんだが、介護の仕事にしっかりやりがいを見出しているようだ。
「前の仕事は介護とは畑違いかと思いましたが、接客の経験が長かったので、お年寄りの方ともスムーズに接することができましたし、ずっと立ち仕事だったので、今のところ体力的にも問題なさそうです。
しかも、私はネイルアートが趣味で、職場でそのことを話すと、入居者の方から『ぜひやって欲しい』というリクエストの声があがりました。そこで、ケアの一環として近々入居者さんたちにネイルアートをすることも決まったんです。
ファッション関係は確かに憧れの仕事でしたが、振り返ると『ありがとう』と言われた記憶がありませんでした。
けれども介護の仕事では、1日に何度も『ありがとう』と言ってもらえるんです。『ありがとう』と言ってもらえるとやっぱり嬉しいですし、もっと頑張ろうっていう気持ちになります」
今はまだ無資格のスガワラさんだが、介護業界で働き続けようという意志は強く、ゆくゆくは介護福祉士の資格取得を目指しているのだとか。
仕事内容にこだわるのは仕事探しの王道だが、少し目線を変えて、とことん条件にこだわってみることで見えてくる景色もあるようだ。