毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「求人広告の読み方」という話題について紹介します。
アルバイトは使い捨て?面接さえしてもらえないことも…
世知辛い世の中を生き抜いていくうえで、大なり小なり使い分けなければいけないのが「本音と建前」。
本音だけでは世の中は渡っていけないが、建前を理解しなければ、結果的に遠回りをしたり、損をしたりすることが多いのが世の現実だ。
それは求人欄ひとつをとっても同じこと。
現在は介護施設で働くヨシダさんは、いろいろな業界の職場を見るうちに、会社が求める人材の「本音と建前」に気づいたという。
介護職として働き始めて2年目になる、30代のヨシダさん。
大学卒業後にフリーターになり、アルバイトや派遣社員として、コンビニエンスストア、引っ越し屋、清掃、飲食店、警備員など、ありとあらゆる仕事を経験してきた。
「コロコロと仕事を変えてきただけで、何のスキルもない」と謙遜するヨシダさんの仕事歴は、ここ20年ほど社会問題となっている雇用の不安定さを体現しているようだ。ヨシダさんがいう。
「ここ最近はどの業界も人手不足で、アルバイトの面接に落ちる人は少ないでしょうが、昔はアルバイトの面接で落ちることは珍しくありませんでした。私自身、少し髪が長いという理由でコンビニのアルバイトの面接で落とされたことがありますし、『週○回しか働けないならいらない』と焼肉屋のアルバイトの面接で落とされたこともありました。本屋のアルバイトの面接では、『もう他の人に決まったから』と、面接をする前に帰されたこともあります」
今なら信じられないような話だが、「アルバイトの替わりならいくらでもいる」と考える人がいた時代が、ほんの十数年前にはあったのだ。
「元気な仲間が待っています」=体を動かす仕事が多い??
しかし、時代は変わり、求人欄に書いて良いこと・いけないことの決まりも厳しくなった。
例えば「男性のみ」「女性のみ」「30歳まで」「既婚者不可」といった表記は原則的にすべてNGだ。しかし数え切れないほどの求人欄を眺め、履歴書を書いてきたヨシダさんは、文言の裏に隠された“真の意図”に気づくようになったという。
「単純なことです。例えば、『若いスタッフが多い会社です』とか『フレッシュな職場です』といったキャッチフレーズが書いてあったら、若い人が欲しい、『元気な仲間がアナタを待っています』とか『活気にあふれた明るい仕事場です』といったキャッチフレーズだったら、体を動かすことが多い仕事だろうということです。
採用する会社側にしてみれば、年齢や性別を限定して求人募集はできないけれど、なるべく仕事内容に合った人材が欲しいのは当たり前ですよね」
すべての広告に当てはまるとは限らないが、ヨシダさんの指摘は理に適っている。
そこまで聞くと、いま働いている介護施設の求人広告にどんな“本音”が書いてあったのか気になるところ。
ヨシダさんによれば、「いま働いている介護施設の求人広告には、給与形態や勤務地、勤務時間がありのままに書かれていました。自分の希望と照らし合わせやすかったですし、面接の時にも求人広告の通りに雇用条件を説明してもらったので安心感がありました」とのことだった。