毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「ありえない求人広告のキャッチコピー」という話題について紹介します。
採用担当が「これはない」と思った介護施設の求人広告
社会人として働いていれば、自分に関連する業界の情勢が気になるのは当たり前。
同業他社のニュースや広告などが目に入れば、ついついその内容に目がいくだろう。
都内の介護事業所で働くミキエさんは、先日、新聞の折り込み広告に掲載されていたある介護施設の求人の広告を見て、目が点になったという。
ミキエさんは、訪問介護事業を展開する会社で総務部に所属し、求人や採用を担当している40代の女性。
応募者の書類を読んで連絡を取ったり、面接を行ってその合否を決めたりといった作業の一方で、求人も任されている。
求人広告に載せる文章をチェックしたり、キャッチコピーを考えたりしているという。
そんなミキエさんが先日、目にしたのが、新聞に挟まれていた求人のフリーペーパーだった。
そのフリーペーパーには多くの業種の求人情報が掲載されており、ドライバー、飲食店、工場での軽作業などがあった。
その中に介護施設のスタッフ募集もあったのだが、そのキャッチコピーを見たミキエさんは、思わず「これはない」と、独り言を言ったそうだ。
介護の仕事は適度な運動?
「私は今の自分の会社に満足していますが、同じ業界の会社が求人を出していると、ついついチェックしてしまいます。
業界歴が長いので、場所、時給、残業時間、寮の有無、資格要件、正社員登用といった記述内容から、ある程度、その会社の状況を読み取ることができます。
また、『この言い回しは使える!』と思ったら、参考にさせてもらうこともあります。
しかし、折り込みに掲載されていたスタッフ募集のキャッチコピーには、『適度な運動をしながら、お金も稼げます』といった趣旨の文章が書かれていたのです。
確かに介護施設や訪問ヘルパーの仕事は体を使う仕事ですが、荷物を運んだり軽作業をしたりといった仕事ならともかく、仮にもお年寄りの世話をする仕事について、そのような表現を使うデリカシーのなさに、本当に腹が立ちました。
我々は、小さな求人広告の中で、いかに効果的に我々の仕事の魅力を伝えられるか、人を集めるためにウソの情報を発信していないかということに、細心の注意を払っています。
もしウチのスタッフが『適度な…』なんて案を出してきたら、懇々と説教したと思います」
その広告を出した会社には、その会社なりの狙いがあったのだろうが、ミキエさんが怒るのももっともなこと。
ミキエさんは、“悪い例”としてそのフリーペーパーを翌日会社に持っていったそうだ。
求人広告を見て応募をする際には、ミキエさんのような視点を持ってしっかり吟味する必要があるのかもしれない。