在宅介護の中で、デイサービス職員と家族がどう連携するかは、今後の介護の課題でもあります。この特集の最終回は、前回に続き「家族とどう協力していくか」を掲載します。この問題、みなさんもいっしょに考えてください。
※以下、家=利用者の家族、デ=デイサービス職員
投薬については、デイサービスも家族も細心の注意を
勉強会の様子
家1 私にとって、一番心配になるのは、投薬のことです。お願いしていた薬を、飲ませていただけるのかどうか。
デ1 昼に服薬すべきものは、デイサービスのほうで飲んでいただいています。……でも、飲みたがらない利用者さんもいらして。
デ2 います、います。特に、日に何錠も飲むような方は、薬を飲み飽きている(笑)。嚥下の力が低下している方は、薬をどんな形状にしても、飲むことがつらいですしね。けれど、きちんと飲まないと健康を阻害するわけですから、なんとか飲んでいただくのですが。
家2 薬によっては、1回ぐらい抜かしても、それほど影響がないものもありますよね。
デ3 たしかに、そうです。しかし、それは私たちが勝手に判断できません。医療職ではないので。間違った処方でない限り、ご家族が「飲ませてほしい」とおっしゃるのなら、ご家族の意向を受け、できる限りの努力をすべき立場です。
家3 そうですよね、「飲ませてください」と言うなら「飲ませなければならない」立場ですものね。こちら側も、薬の内容などの知識を持ってかかりつけの医師と相談した上で、「もしどうしても飲まないのなら、1回程度なら飲まなくてもいいと、医師から指導を受けています」などと、連絡帳にひと言書いておくべきですね。
デ1 そのようにしてくださると理想ですね。口頭でのやりとりですと、あとで「言った」「言わない」になってしまい、ますます危険が高まりますから。文書でいただけると、ありがたいです。
家1 「本当にしていただきたいこと」と、「できればしていただければありがたい」ということを、分けて考えたほうがいいですね。
デ2 それと、ご家族はもちろん、私たちサービス側も、こと薬に関しては、知識を十分に持つことが大切ですね。利用者さんの健康や、ときには命にも関わることですから。細心の注意を払い、連携していく心構えが必要だと思っています。
家族をデイサービスが「教育」する?
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家3 私は家族会の世話役をやっているのですが、デイサービスにすべておまかせ、というスタンスの人も少なくない…。「もう少し利用者本人に関心を持つべき」という家族も多くいます。デイサービスのみなさんはたくさんの利用者や家族を見ているので、きっと私以上に感じていますよね?そういう家族に対して、デイサービス側が教育してくださるといいのに、と思うこともあります(笑)。家から送り出した後、デイサービスでどのように過ごしているのかを知るために、家族もどんどん見学をし、参加もしたほうがいいのでは?
デ3 そうですね……、でも、デイサービスの利用は、利用者さんの活性化のほか、日頃の介護に疲れたご家族に、レスパイト(休息)していただくことも大事な目的のひとつです。デイサービスから利用者さんが戻れば、またご苦労があるわけですから。利用している間に、ご家族はゆっくり休んでください、リフレッシュしてください、という思いがありますね。
デ2 利用者さんの家族には、障がいを持っている方もいらっしゃるし、いわゆる老老介護も多いです。独居の方も多いですしね、最近、ますますそれらの方々が増えてきています。それなのに、日本の介護はどんどん在宅にシフトしていっていますよね。私たちも、ご家族に協力をお願いすると同時に、社会全体をどう動かしていくか、考えて行動していかなくてはいけない時代なのだと実感しています。
家3 なるほど、そうですね。こちらこそ勉強させていただきました。
*東京の目黒で行われた勉強会の発言をもとに、編集部がまとめています。なお、発言の内容は、あくまで参加者の個人的な見解です。ご了承ください。