介護現場での情報伝達や連携を円滑にするインカム。介護記録ソフトや見守りセンサーのように、介護現場の生産性向上・業務効率化を推進する定番ツールの一つとして挙げられるようになった。国は今年度も地域医療介護総合確保基金を活用し、インカムを含むICT機器や介護ロボットの導入費用を補助する。
離れた場所でもリアルタイムに、またユニットなど複数人のグループで会話できることなどから、特に介護施設で活用されている。一人ひとりに発信しなければならないPHSや内線とは異なり、「誰か手が空いている人にすぐ来てほしい」などの助けも呼びやすい。例えば、入浴介助時も「Aさんが終わったから、次はBさんを浴室へ案内してください」といった具合に連携をスムーズにし、連絡のための移動や指示待ちのタイムロスを削減できる。
2021年度介護報酬改定では、見守りセンサー(全入居者に導入した場合)にインカムなどを併用すると利用者一人あたりの業務時間は平均25.7%減少したことなどから、夜勤職員配置加算の算定要件をさらに緩和。全入所者に見守りセンサーを導入し、夜勤職員全員がインカムなどを使用することで、従来1人以上の夜勤職員の加配が必要なところ、ユニット型は0.6人加配で算定できるようになった。さらに従来型特養では、加算だけでなく、夜間の人員基準も同様の要件を満たした場合に緩和。加算や人員基準の緩和要件に、インカム活用が初めて位置づけられた。
介護事業所がインカム導入に活用できる主な補助金には「ICT導入支援事業」と「介護ロボット導入支援事業」の2つがある。いずれも地域医療介護総合確保基金を財源に、今年度も実施されることが決まっている。
ICT導入支援事業は、名称通りICT機器の導入支援を通じた職員の負担軽減が目的で、インカム以外にも、介護ソフトやタブレット、スマートフォンなども補助対象。記録から請求までの一気通貫の介護ソフト利用やLIFEへの情報提出などを補助要件としている。職員数に応じた補助上限額(31人以上で最大260万円)。補助率は通常2分の1を下限に実施主体である都道府県が設定するが、20年度3次補正予算からは導入事業所が一定の要件を満たすことで都道府県が4分の3まで補助率を拡充できるようになった。
今年度は、現行の要件に加え、▽ICT導入計画で文章量を半減▽ケアプランデータ連携システム(現在、国民健康保険中央会が構築中)の利用――のいずれかを満たす場合でも認められるようになった。20年度に同補助金を活用したのは2560事業所。
介護ロボット導入支援事業は、当初インカムは対象ではなかったが、20年度以降は見守りセンサー導入に伴う通信環境の整備として、インカムやWi-Fi工事も補助対象となっている。補助上限は750万円。補助率は、こちらもICT導入支援事業同様、一定の要件を満たした場合に補助率の下限を都道府県判断で2分の1から4分の3に拡充できる。20年度に都道府県が認めた導入計画は2574件(今年1月時点の暫定値)。
現時点では、受付時期を未定としている自治体が多いが、鳥取県はすでに受付中で両補助金ともに提出期限を6月初めに設定しているなど、自治体によって異なるので注意が必要だ。国は両補助金とも「20年度以降の拡充分は23年度までの時限措置の予定」と説明しており、事業所に早期活用を呼び掛けている。
<シルバー産業新聞 2022年5月10日号>
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