毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「具体的に言ってほしい!」という話題を紹介します。
入社してからわかった施設のアピールのおかしさ
仕事を探している人の役に立つのはもちろん、就職や転職を考えていない人でも楽しめるのが求人広告。
「あの仕事って、こんなに給料をもらえるんだ!」「こんな仕事を始めたら、人生がどう変わるのかしら?」と、想像を巡らせるのは愉快な作業だが、中には仕事や勤務条件などがハッキリしない広告もある。
都内の介護事業所で訪問ヘルパーとして働くサカイさんは、かつてある介護施設を短期間で辞めた経験の持ち主だが、いま思い返すと、求人広告からしておかしな点があったという。
「入社祝いあり」と書いてあったのに…
短期間で辞めることになったという介護施設でサカイさんが働いていたのは、今から7~8年前のこと。
職場が家から近い上、業績が好調で会社が急成長中であること、「明るく楽しい職場です」という言葉とともに掲載された笑顔のスタッフたちの写真、「未経験でも大丈夫」「家庭での経験が活かせる」というキャッチコピーなど、様々な点に魅力を感じたサカイさん。
面接も和やかに進み、すぐに正社員の介護職として入社したが、そこがヤバい会社であることに気付くのに時間はそうかからなかった。サカイさんはいう。
「求人広告には『入社祝い金が支給される』と書かれていましたが、いざ入社してみると、一向に支払われる気配がありませんでした。そのことを上司に尋ねると、『もらってすぐ辞めちゃう人がいるから、3か月経たないと払えない』と言われました。『最初の3か月は試用期間で……』とか『人物を見極めてから……』とか、ゴニョゴニョと理由を言っていましたが、その時点でおかしいことに気付くべきでした」
それでも3か月間マジメに働いたサカイさんだったが、振り込まれたのは雀の涙ほどの額の入社祝い金。
求人広告には「ドーンと支払います」と書かれていたが、具体的な額は一切記されておらず、文句は言えなかった。
ウソ?ホント?怪しい求人広告のフレーズ
また、その介護施設のキャッチフレーズもすべて“言葉のマジック”でごまかしているものばかりだったという。
「求人広告では、『定着率が高い』と書かれていましたが、実際には1年で3分の1近くのスタッフが入れ替わっていましたし、『充実した研修制度』とアピールしていましたが、社内研修はなく、外部の研修に行くのは構わないけれど休みの日に自費で行くようにと言われました。
このほか、『生き生きと働いて充実した毎日を』『優しく丁寧に指導します』『安心の職場』など、耳障りの良いフレーズがたくさん書いてあるものの、実際には“出たとこ勝負”のような状態で現場に出されました。何ひとつ具体的なことが書かれていなかったんです」
「和気あいあい」なのは一体誰?
そしてサカイさんが一番耐えられなかったのが、求人広告に記されていた「和気あいあいとした職場です」という言葉だったという。
「確かにその施設は、スタッフが親しげにおしゃべりしており、求人広告に書かれていたことは本当でした。
ただし、楽しくおしゃべりしているのは、オープン時から働いている一部の女性スタッフたちだけ。
彼女らの間で完全に人間関係が出来上がってしまっていて、年齢が違う新参者の私はまったくその輪に入っていけず、常に疎外感を感じていました」
気になることは面接で質問を!
転職経験が豊富なサカイさんは、「求人広告に具体的なことが書いていないからといって、その会社が信用できないわけではない」というが、彼女の苦い経験を見れば、1つの判断材料となるのは間違いない。
もし疑問を感じたのであれば、面接で「定着率はどのくらいですか?」「入社祝い金はいくらですか?」「どんな研修がありますか?」といった具合に、疑問を解消する質問をすると、不要なトラブルは避けられそうだ。
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