毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「ヘルパーになった“元ヤン”の変身」という話題について紹介します。
夏の連休を利用して、同窓会のために帰省
2016年に新たにできた祝日の「山の日」。2016年のお盆は、「山の日」が木曜日だったため、翌日の金曜日さえ休めば4連休という曜日の並び。このお盆休みを利用して故郷に帰省したという人も多かったという。現在、都内の事業所で訪問ヘルパーとして働く30代の男性・Sさんも、4連休を利用して故郷の宮城県に帰省したが、そこで旧友から驚くべき指摘を受けたという。
Sさんは宮城県で生まれ育ち、高校卒業後に上京。これまで飲食店や携帯ショップ、派遣社員など、職業を転々と変えてきた。それから数年前にヘルパーに転職し、すでに5年ほどが経過している。そんなSさんが今回、久々に故郷に帰省したのは、中学の同窓会が開かれるとの知らせを聞いたためだった。しかし、参加した同窓会ではSさんの変貌ぶりが大きな話題となったそう。Sさんはこう語る。
「男女を問わず、会話をした友人たちに『人が変わった』『Sくんってこんな人だったっけ』『昔と違う』って言われたんです。確かに自分でも昔に比べて『丸くなったな』とは思いますが、ここまで言われるとは……自分でも驚きましたね」
話しを聞けば、Sさんは学生時代、かなり“ヤンチャ”をしており、「深夜に改造バイクで仲間と走り回るグループ」(Sさん談)に所属していた時期もあったという。Sさんはなぜ「変わった」と言われたのか?
人に優しくされたら、他人に優しくなれた
「僕は色んな仕事をしたんですけど、自分が誰かに頭を下げることはあっても、人に『ありがとう』って言われる仕事は、ヘルパーが初めてだったんですよね。こっちとしてはお金(給料)をもらってやってるのに、『ありがとう』って言われるなんて、最初はビックリしました。人間って、そうやって自分が優しくされると、他人にも優しくできるようになるんでしょうね。もちろん、年をとって丸くなった、という部分もあるとは思いますけど」
気付けば、常に周囲を威嚇していた目線が穏やかなものになり、“ヤンキー口調”も改まっていたというSさん。学生時代は「まったく女っ気がなかった」そうだが、この変化により、同窓会では女性陣から人気の的に。
「話しかけたかったけれど、昔は怖くて話しかけられなかった」
「カッコいいなと思ってたけど、相手にされないと思った」
と告白され、今さらながら「何で不良なんかやってたのかなぁ」と、学生時代のことを悔やんでいるそうだ。
介護がきっかけで優しい性格に変化したSさん。“介護”には意外な効果もあるようだ。
公開日:2016/9/23
最終更新日:2019/4/27