設備もサービスも理想的と言われ、全国から多数の方々が視察に来る特別養護老人ホーム アンミッコを運営している三浦祐一さん。最終回は、介護の未来に向けてのメッセージをお届けします。
○●○ プロフィール ○●○
三浦祐一(みうら・ゆういち)さん
1963年生まれ。東邦大学大橋病院医事課、医療法人友康会(行徳中央病院・埼玉飯能病院)理事。事務局長、大手医療福祉グループの経営理事、㈱メディカルクリエイトのコンサルティング業務を経て、2011年、社会福祉法人天佑を設立。12年3月より特別養護老人ホーム アンミッコを開設。全日本病院協会診療報酬委員、医業経営コンサルタントでもある。
アンミッコ公式ホームページ
*掲載内容は取材時(2014年)の情報となります。
看取りと団塊の世代の受け入れが今後の課題
日々訪れる視察の人たちにアンミッコについて説明する三浦さん。
――高齢化がすすむ日本において、今後、特別養護老人ホーム(特養)の役割は大きいと感じます。アンミッコでは、今後の展開をどう考えていますか?
最高のケアを目指す、という理念は変わりなく持ち続け、努力していきます。
が、看取りにどう取り組んでいくかが、今後の特養の課題でしょう。現在は、自宅で亡くなる方は少なく、多くの方々は病院で命を終えられますが、今後は自宅や特養にいながらにして終末期を迎える方も多くなるでしょう。
そもそも特別養護老人ホームは、人生の最終章を刻んでいただく場所だと考えています。利用者様がここでの看取りを希望されるなら、やはり最期まで施設内でケアすることは必須条件で、これこそが私たちが目指す個別ケアのゴールである、と考えています。看取りは、支えてくれる医療の部分があってこそ成立します。そうした意味でも、医療分野との連携は今後大事になってくるでしょう。
また、今後は団塊の世代が入所されるようになります。おいしいものを食べ、上質なものを身につけてきたこの世代の方々に満足していただけるようなサービスとは何か。その答えも用意しておくべきと考えます。
――先進的なアンミッコは、知識の上でも技術の上でも、こうした難題に率先して立ち向かってきたと思います。また、きちんと形にしてこられました。今後も社会から望まれていると思います。アンミッコの使命は大きいですね。
できれば私たちは、地域の大学院でありたい。「いい介護」の学びの場であり、知識と技術の情報発信の場でもありたいと思います。言い換えれば、私たちのいいケアといいサービスを、ブランドにしたいのです。
医療の世界では、「あの病院に研修していた人なら信頼できる」というような病院がいくつかあります。アンミッコも、そうありたいと思います。アンミッコで3年間働いた職員は人として、キャリアとして世間に認められるような存在になってくれればいいな、と思います。「いい介護」を追求して実行できる存在であってほしいですね。
目指すべきケアのありかたを確立する
外に看板は出さず、こんな控えめな表札があるのみ。美観にこだわり、この結果に。
――アンミッコが軌道に乗った今、次の施設を作る計画はあるのですか?
できたら、もう一軒、世に送り出したいですね。チェーン展開のように多数の施設を作りたいと思っているわけではありません。目指す介護のあり方を実現でき、進化させられるようなもう一軒でなければ、作る意味がないと思っています。
――高級感漂う建物や設備、利用者2人に対して職員1人の体制、見た目も美しい食事……、それらを追求してなお、事業が好調で有り続けるのは大変なことですね。
いやな言い方をすれば、「手を抜けば抜くほどもうかる」のが介護事業の実際です。建物は古いままで平気、人も多く配置しない、地域にも貢献しない、設備投資もしないとなれば、どんどんお金はたまっていきます(笑)。逆に、きちんとやろうとすれば、適度な利益しか出ません。
しかし、やらずぼったくりなどできるはずもありません。やるべきことをやることが、社会福祉法人の役割だと思っています。
――同業の人たちにメッセージはありますか?
事業者は、自分たちの目指すべきケアのあり方をしっかりと確立し、職員を教育することが大切です。そして、
これからこの業界で活躍する若い世代には、ぜひとも妥協せず、「いい介護」を貫いていってほしい。また、貫ける環境の中で活躍してほしいと思います。
不満をためて働くのではなく、不満を解消できるような環境を、自ら作って行けるようなバイタリティを持ち続けてほしいと思いますね。
*介護求人ナビの姉妹サイト「オアシス介護」では、アンミッコの設備やサービスを詳しくご紹介しています。
オアシス介護 介護の知恵袋 「特別養護老人ホーム アンミッコ」