厚生労働省は4月27日、介護給付費分科会を開催し「テクノロジー活用等による生産性向上の取組に係る効果検証について」をテーマに24年介護報酬改定でどのように見直していくか、委員からの意見出しを行った。
同テーマでの実質的な議論は今回が初めて。冒頭には厚労省より検証結果の報告が行われ、委員からの意見出しが行われた。
介護人材不足の中で、テクノロジー活用により効果を示した施設については、現在の看護介護配置基準「3対1」を緩和することについて、「サービスの質向上のためにゆとりを持てるよう、ICT、介護助手の活用が必要。介護助手の業務内容や配置基準に関しては検討が必要」(及川ゆりこ委員・日本介護福祉士会)と理解を示す意見があった一方、「人員配置基準の緩和を目的にすることは違う」(小林司委員・日本労働組合総連合会)、「人員配置の緩和ありきとならないように。テクノロジー活用の具体的な姿について事前に家族へのわかりやすい説明が必要」(田母神裕美委員・日本看護協会常任理事)と緩和には慎重であるべきとする意見もみられた。
介護施設に介護助手(介護補助者)を採用することで、施設内でのタスクシフトが進み、専門職への負荷が軽減したことから、介護施設の人員基準に組み入れることで報酬上評価することについて「(専門性の高い)介護業務が利用者の生活の質向上につながっているため、介護助手の立ち位置を明確にする必要がある」(稲葉雅之委員・民間介護事業推進委員会)、「人手不足で有資格者が4分の1という現実を反映していない。介護助手が高齢者で事故が多いとのデータもある」(鎌田松代委員・公益社団法人認知症の人と家族の会)と、介護助手の活用には現行制度との整合性をとりながら、慎重な検討が必要とする発言もあった。
介護ロボットやICT活用の評価については、費やした資本や時間あたりの生産性とは異なり、時間を創出し、できた時間をこれまでできていなかった業務に還元する「介護生産性(付加価値生産性)」で評価する。
具体的には
(1)職員向けタイムスタディ
(2)利用者向け効果
(3)職員の意欲・モチベーションの変化
(4)その他調査
の4つの視点から評価するとされていることについて「概ね負担軽減の効果が得られたのではないか。施設間のばらつきなどは動線などの影響もあったのではないか」(濵田和則委員・日本介護支援専門員協会)、「定量・定性データをどのようにとらえていくか。良い結果、悪い結果があり一律には評価できない。施設間でのばらつきが大きい。個々のデータに注意して分析して欲しい」(小林委員)、「利用者へのケアの質があがることが大切で、利用者への効果を測る客観的機能評価法VI(バイタリティ・インデックス)が向上した理由など詳細な分析が重要。テクノロジー機器については家族からは距離感がある様子。家族への説明なども必要」(石田路子委員・高齢社会をよくする女性の会)、「VI向上についても留意が必要だ」(小玉剛委員・日本歯科医師会)など、時間効率や職員の腰痛軽減などと共に、VIの変化に注目することの大切さを強調する声が多かった。
<シルバー産業新聞 2023年5月10日号>
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