厚生労働省は2月17日、告示改正を行い、介護支援専門員の法定研修のカリキュラムが見直されることになった。
2024年4月以降、各研修は新カリキュラムに沿った内容に変わる。
都道府県や実施受託先の準備に配慮して、案段階の大枠は、昨年4月に示されていた。
最大の変更点は、実務研修から主任介護支援専門員更新研修まで、ケアマネが受講する全法定研修に「適切なケアマネジメント手法」を位置付けたことだ。
適切なケアマネジメント手法は、国が16年度から検討を始めた。
▽脳血管疾患 ▽大腿骨頸部骨折 ▽心疾患 ▽認知症 ▽誤嚥性肺炎の予防――と、ケアマネジャーが取り扱う可能性が高い5つの疾患別に、想定される支援内容やアセスメント・モニタリングの視点をまとめている。
国は現場への普及に力を注いでおり、活用の手引きや解説動画などを公開している。
今回はさらに、実務研修から主任ケアマネの更新研修まで、ケアマネの全法定研修に横串を通す形で、この適切なケアマネジメント手法を位置付けた。
これにより、これから現場に就く初任者からベテランまで、全てのケアマネジャーが研修で適切なケアマネジメント手法に必ず触れるベースができたといえる。
例えば実務研修の場合、「ケアマネジメントの展開」の講義・演習が適切なケアマネジメント手法の類型に沿った内容に変更される(表)。
<表>ケアマネ実務研修の変更点
同様に、専門研修Ⅰでは「ケアマネジメントの演習」、専門研修Ⅱでは「ケアマネジメントにおける実践事例の研修及び発表」、主任介護支援専門員更新研修では「介護支援専門員としての実践の振り返りと指導及び支援の実践」の中で取り込んだ。
また案段階から一部変更もあった。
例えば、実務研修では「看取りに関する事例」を「看取りのケアマネジメントの理解」と科目名を改め、5時間の講義・演習から2時間の講義に縮小される案が示されていたが、科目名はそのままで時間数を4時間と1時間減に止めている。
全課程共通の見直しのポイントとして、根拠のある支援を組み立てる基盤の視点として、適切なケアマネジメント手法以外に科学的介護(LIFE)も取り入れられる予定。
居宅介護支援やケアマネジャーのLIFE活用は、次期改定テーマの一つだ。
そのほか、実務研修で「地域共生社会の実現に向け他法他制度の活用が必要な事例のケアマネジメント」が新設され、地域共生社会、認知症施策推進大綱、ヤングケアラー、仕事と介護の両立、意思決定支援など、近年の動向に関する内容も反映される。
各カリキュラムの詳細について、厚労省は近日中に老健局長通知「介護支援専門員資質向上事業の実施について」やガイドラインを改正し、公表するとしている。
今回の見直し案では、全課程で受講時間の増減はない。現場の受講負担増に配慮した。
<シルバー産業新聞 2023年3月10日号>
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