■書名:ケアマネジャーのためのアセスメント力向上BOOK-「アセスメント見える化ツール」で自信がつく!
■著者:寺本 紀子、中 恵美、林田 雅輝、馬渡 徳子
■出版社:メディカ出版
■発行年月:2019年4月
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アセスメントに自信がつく!ケアプラン作成の強い味方の1冊
介護の職場でよく使われる「アセスメント」という言葉。
「アセスメント」とは、ケアプラン作成のための基本情報として、利用者の状態や希望などを把握すること。
アセスメント力が向上すれば、適切なケアプラン、ひいては利用者の幸福にもつながる。
本書では、アセスメント力向上のための具体的な方法が示されているので、ケアマネジャーならぜひ参考にしたい1冊だ。
アセスメント力向上のための方法といえば、一般に「信頼関係を構築する」「利用者の気持ちに寄り添う」などの抽象的な説明になりがちだ。
しかし本書では、「見える化ツール」を紹介するなど、具体的でイメージをしやすい内容になっている。
最初に目を引くのは、1章に掲載されている
「本人主体のアセスメント」10項目の点検シートだ。
アセスメントとはどうあるべきかを確認しながら、自分がどの程度実践できているかを「見える化」できる。
その項目の一部をご紹介しよう。
1.最初の出会いのとき、感謝や労いの言葉が自然に湧いてくる。
2.周りから入手した本人の事前情報に惑わされない。
3.本人に「聴く」ことからはじめている。
4.本人と一緒に課題を考え、計画をつくり、評価をしている。
5.支援が行き詰ったときには、原点である本人の思いに立ち返る。
それぞれの項目については、後のページで詳しく解説されているので、アセスメントへの理解を深めることができる。
次に紹介されているのが、全部で10種類の
『見える化ツール』だ。
このツールにより視覚的にわかりやすくなるので、利用者の本人像や課題を把握しやすくなる。
「ジェノグラム(家族図・家系図)」と「エコマップ(社会関係図・ネットワーク図)」の2種は、すでに広く普及している基本的なツールだが、本書ではアセスメントがより深まる使い方や工夫についても説明がある。
たとえば「ジェノグラム」では、利用者と一緒に描くことを提案。
その作業の過程で、利用者は自分の状況をより良く把握し、主体者としての意識を育てられるのだそうだ。
「地域支え合いマップ」では、地域の中で利用者がどんな日常を送っているかを知ることができる。
「家屋見取り図」は、退院に向けた家屋環境の整備のために利用されることが多いが、利用者の実際の暮らしぶりを知るツールとしても有効だ。
利用者や家族との面接の場で、自然な会話のきっかけになるので、利用者の人となりが表れやすい。
このほか、
『時間軸で見える化』を目指すツールとして、「時系列の生活史(家族史)」「時系列図」「パターン図」「二者選択図」が準備されている。
また、
『内面の見える化』のためのツールとして、「気持ちのスケール化」「心のマトリックス図」などがあり、それぞれ作り方や使い方について、図解とイラストでわかりやすく説明されている。
本書で紹介されているノウハウやツールを活用することで、利用者の思いや暮らしが浮かび上がって見えてくるだろう。
経験の浅いケアマネジャーにとっての救いの1冊としてだけでなく、ベテランにとっても、より深いアセスメントのためにおすすめしたい。
著者プロフィール(引用)
寺本 紀子(てらもと・のりこ)さん
社会福祉士、保育士。家庭児童相談室の家庭相談員、老健施設の相談支援員、ジョブコーチ、精神障害者生活支援センター相談員、直営地域包括支援センターの社会福祉士、センター長を経て、長寿介護課長。定年退職後は、寺本社会福祉士事務所を開設。
中 恵美(なか・えみ)さん
金沢市地域包括支援センターとびうめ センター長。社会福祉士、主任介護支援専門員、精神保健福祉士。平成10年よりソーシャルワーカーとして勤務。在宅介護支援センター、院内相談室を経て、平成18年より現職。
林田 雅輝(はやしだ・まさき)さん
自立就労支援センターいしびき センター長。精神保健福祉士、社会福祉士、ジョブコーチ。30歳で福祉の世界へ。精神保健福祉士として就職後、地域生活支援センターを経て現職。
馬渡 徳子(まわたり・のりこ)さん
主任介護支援専門員、認知症地域支援推進員。医療ソーシャルワーカー、介護支援専門員を経て、平成29年より金沢市地域包括支援センターかみあらや勤務、現在に至る。金沢大学人間社会学域非常勤講師。