■書名:こんなにおもしろい社会福祉士の仕事
■著者:飯塚 慶子
■出版社:中央経済社
■発行年月:2018年8月
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「社会福祉士」の資格情報から仕事の楽しさまで、全て網羅したガイドブック
介護に関わる仕事にはどのようなものがあるのだろうか?
ヘルパー、介護福祉士、ケアマネジャー、介護事務、看護師、機能訓練指導員、栄養士…。
さまざまな資格や職種があるが、その中に「社会福祉士」という職業があるのをご存じだろうか。名前くらいは知っているが、実際はどのようなことをしているのかよく分からないという人もいるのではないだろうか。
そんな「社会福祉士」の仕事について、詳しく、分かりやすく、解説してくれるのが本書だ。
「社会福祉士」とは、福祉に関する専門的な知識・技術を持つ国家資格。身体や精神に障害がある人や日常生活に支援が必要な人の相談に乗り、最適な助言・指導・福祉サービスを提供するため、医師や保健医療サービス提供者等と連携・調整を行っている。
高齢者や障害者に対する福祉はもちろん、児童福祉、配偶者暴力、成年後見、生活保護なども守備範囲となり、その活躍の場は介護施設や福祉施設だけでなく、学校、行政機関、病院、刑務所など多岐にわたる。
社会福祉士国家試験を受けるには、大学や短大で指定科目を修めていることや、相談援助実務経験があるなどの受験資格が必要な上に、試験の合格率は約3割というかなりの難関資格だ。
著者の飯塚さんは、中学生向けの英語教材を作成する出版社に勤務しながら、社会福祉士の国家試験に合格した経歴を持つ。
本書は自らの経験をもとにした社会福祉士になるためのノウハウと、さまざまな職場で活躍する社会福祉士の方へのインタビューを通して、「社会福祉士」という仕事の幅の広さ、おもしろさを教えてくれる。
本書の構成は次のとおり。
第1章 社会福祉士をめざす理由
第2章 社会福祉士国家試験制度
第3章 社会福祉士合格の近道
第4章 社会福祉士の仕事
第5章 社会福祉士のキャリアアップ
第6章 社会福祉士にプラスする資格
第7章 社会福祉士の新しい可能性
第2章、第3章では、社会福祉士国家試験の実施時期や受験状況、出題範囲、受験勉強の方法など事細かに教えてくれる。
そして第4章では、大学病院、特別養護老人ホーム、少年鑑別所など勤務先が異なる社会福祉士7人を飯塚さんが取材。喜怒哀楽に満ちた現場の声を紹介しており、社会福祉士が行う仕事の幅広さがよく分かる内容となっている。
飯塚さんの恩師である大江守之先生は本書の推薦文にこう書いている。
<社会福祉の世界は複雑な制度の上に成り立っており、社会福祉士は制度を熟知して、制度に則って仕事を淡々と進めていく専門家というイメージもありますが、飯塚慶子さんのインタビューに答える一人ひとりの社会福祉士は、クライエントとともに考え、それぞれの問題を解決につなげようとする等身大の人びとです。「こんなにおもしろい社会福祉士の仕事」であることがストレートに伝わってきます。>
生きるのに困難を抱えている人の気持ちに寄り添い、思いを汲み取り、その人たちがごく普通の生活を送れるように、いろいろな組織との橋渡しを考える。
そんな温かい人間関係のネットワークに従事するのが社会福祉士という仕事だということが、本書を読むとよく分かる。
介護という仕事も、そうした人と人とのつながりの中にある。
介護職から社会福祉士へのキャリアアップを目指す人には社会福祉士という具体的な専門職のガイドブックとなるだろう。
また、社会福祉士への道を考えていない人にとっても、介護の仕事を福祉という大きな視野から見つめるきっかけになる1冊だ。
著者プロフィール
飯塚 慶子(いいづか・けいこ)さん
慶應義塾大学文学部人間関係学科社会学専攻卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。全国社会福祉協議会中央福祉学院社会福祉士通信課程卒業。現在、介護保険施設におけるソーシャルワークの経験から、大学・養成施設にて後進の指導にあたり、多くの社会福祉士を輩出している。社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉士実習指導者、東京社会福祉士会会員。