■書名:やさしくわかる!すぐに使える!「介護施設長&リーダー」の教科書
■著者:糠谷 和弘
■出版社:PHP研究所
■発行年月:2018年9月
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施設長の仕事も方法とコツ次第。専門家が語る正しいリーダー像はコレ!
著者は介護経営コンサルタントの第一人者として知られる糠谷和弘さん。自身が立ち上げた「介護サービス経営カレッジ」の施設長養成講座の内容から、施設での業務に大切な部分を抜粋してわかりやすくまとめたのが本書だ。
何よりも実践的な内容で、すぐに使えるノウハウが満載されているのがうれしい。
介護施設長にしてもリーダーにしても、お手本のない中で四苦八苦している人は少なくないだろう。
いくら介護現場での経験が豊富でも役職者としては新米。それなのに、その仕事やスキルについて学ぶ機会はなかなかないものだ。
未経験で知識もない仕事では、がんばっても結果が出ないのは当然のこと。本書で「施設長術」や「リーダー術」を学べば、きっと力になってくれることだろう。
本書は、介護の具体的なテクニックなどには一切触れず、施設長やリーダーが身につけるべきスキルに的を絞っているのが特徴。そして、タイトルに「やさしくわかる!」とあるとおり、わかりやすい言葉でていねいに説明されている。
ただし、その切り口は凄腕コンサルタントとして知られる著者ならではで、決してありきたりなものではない。
『第1章 あなたの「施設長像」は間違いだらけ!』では、施設長としてのあり方を正しくイメージし行動に移せるように、多くの刺激的なアドバイスがされている。
その一部を紹介しよう。
01 施設長は“現場”にいてはならない
02 毎日、職場に出勤してはダメ
04 「背中で教える施設長」などいらない
07 お客様の声を聞いてはならない
09 節約は”非効率”のもと
どれも一般に信じられていることの逆で、驚くかもしれない。しかし、中を読めば著者の考えは明快で納得させられる。
たとえば「01 施設長は”現場”にいてはならない」では、「施設長は現場の親分ではない」と言われてハッとする方もいることだろう。
<施設長には、施設長にしかできない役割が、山ほどある。それを後回しにして、施設長であるあなたが現場で貴重な時間を費やしているから、現場が回らなくなるのです。
まず、あなたに必要なのは「施設長は”現場の”代表者だ」という、誤った「施設長像」を捨てることです。「現場の親分」だと思うから、現場に近づきたくなるのです。>
一見奇抜な言葉だが、実は真実がある。
施設長には施設の経営についての役割があり、施設長としての役割に慣れていかなければならないことに気づかされることだろう。
『第5章 忙しい現場を”楽”にする「引き算の運営」』にも、驚きがいっぱいだ。
「引き算」とは効率化・短時間化のこと。そのために必要なアイディアが、具体的に紹介されている。過去の常識にとらわれずに、機器の見直しや購入で劇的に「引き算」できることなどがよくわかる。
役職者としての意識改革から始まって、すぐに導入して成果が狙えるノウハウまで、その内容は「教科書」の名に恥じないものだ。
それでいて堅苦しくなく読み物のようにおもしろいので、まずは手に取ってみてはいかがだろうか。
著者プロフィール
糠谷 和弘(ぬかや・かずひろ)さん
株式会社スターコンサルティンググループ代表取締役。介護経営コンサルタント。地域一番化プロデューサー。1971年生まれ。東京都出身。介護保険制度施行当初から活躍する介護経営コンサルタントの草分け的存在。実績は450社を超え、”日本一”と呼ばれる事例を多数つくってきた。現場指導のかたわら年間50本以上の講演もこなす。厚生労働省等の調査研究事業で委員も務めており、それらの活動はテレビ、新聞、雑誌、ラジオなどにも多数取り上げられている。