■書名:これならわかる〈スッキリ図解〉介護ビジネス 第3版
■編著者:辻川 泰史
■著者:小濱 道博
■出版社:翔泳社
■発行年月:2018年7月
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介護の基礎から最新情報まで網羅!介護職も参考にしたい介護ビジネス専門書
介護ビジネスについて学びたいとき、真っ先に手に取りたいのが本書。
5年前の初版から、最新の情報を織り込みながら版を重ね、今年発刊されたのが第3版。2018年4月の介護保険法の改正にも対応している。
本書は、「介護業界で働いていて、将来的に起業に興味を持つ人」、「介護ビジネスの立ち上げを考えている人」、「介護事業を引き継ぐ人」を意識したものとなっている。
したがって本書の内容も、介護業界全体を取り巻く話や介護保険なども含めて「事業を始める際に知っておくと役に立つ情報」という観点でまとめられている。
本書の構成は次のとおり。
「要介護度とは?」のような介護についての基礎的な疑問への答えから、混合介護のような介護業界の最新トレンドについてまで網羅している。
序章 新たな動きが加速
第1章 介護業界の現状は
第2章 介護保険と介護サービス
第3章 介護事業をはじめる際の心得
第4章 他事業からの参入と事例
介護ビジネスは、常に介護保険制度に沿っていく必要があるため、制度改正の内容をよく理解することが大切だ。
序章では、2018年の介護保険制度改正のポイントがわかりやすく整理されている。
さらに、人材不足の打開策として注目される外国人研修制度や混合介護、科学的介護の考え方など、介護業界を取り巻く新しい動きについても詳しく解説されているので、チェックしておくとよいだろう。
本書の中心となるのが、介護保険と介護サービスについて解説する第2章と、介護事業を始めるときの考え方や注意点を紹介する第3章だ。
第3章では、「介護は成長産業なので儲かるはず」というような安易な気持ちでは決して成功できないことや、想いや理念だけでなく経営戦略が必要であることなどがわかる内容となっている。
また第4章では、他業種からの参入事例がふんだんに紹介されている。
次のように事例が多彩なことも特長のひとつ。
・高齢者介護から重症身体障害児への居宅サービス専門の事業を始めた人
・フィットネス要素を取り入れたデイサービスをオープンした人
・地域貢献事業を介護施設で行っている人
・20代で地域密着型デイサービスを始めた看護師
・6つの介護施設と1つの老人福祉施設を運営する若手介護リーダー など
いずれも、事業を展開している本人が実名で登場して話をしてくれているので、大いに説得力があり参考になる。
ページ構成は、項目ごとにすべて見開き2ページで完結するようにまとめてある。また、必要な部分には図解がふんだんに使われており、理解を助けてくれるはずだ。
コンパクトながら内容は十分で、ビジネス視点でのニーズに応えてくれる。
利益追求のみでは成り立たないのが介護ビジネス。対人援助の仕事であることを大前提に、理念に基づいて経営戦略を考えていく必要がある。
介護職出身の若手コンサルタントと介護事業におけるベテランのコンサルタント2人が書き上げた本書なら、介護ビジネスについてバランスよく学んでいくことができるだろう。
編著者・著者プロフィール
辻川 泰史(つじかわ・やすし)さん
株式会社はっぴーライフ代表取締役。株式会社エイチエル代表取締役、社団法人岩手介護コミュニティ協会理事も兼ねる。1998年日本福祉教育専門学校卒業後、老人ホーム、在宅介護会社勤務を経て、2002年有限会社はっぴーライフ、2008年株式会社エイチエル設立。
小濱 道博(こはま・みちひろ)さん
小濱介護経営事務所代表。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手がける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。C‐MAS介護事業経営研究会最高顧問、C‐SR一般社団法人介護経営研究会専務理事なども兼ねる。