■書名:介護される人を大切にしたい! 介護する人も大切にしたい! あなたのための介護技術 基本編
■著者:髙山 彰彦、髙山 美佐子
■出版社:文芸社
■発行年月:2018年2月
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介護職にも利用者にも、快適で負担の少ない介護技術の基本を紹介!
介護職の人に腰痛は付き物だ。
介護を必要としている人の中には、体重が重い人もいれば、麻痺のために体を動かせない人もいる。そのような人たちを力任せに起こしたり、立たせたりしようものなら、すぐに腰を痛めてしまう。
また、力任せに介護されるほうも物扱いされているようでいい気分ではないだろう。
本書は、介護する人にとっても介護される人にとっても、体に負担をかけない、人間本来の動きに合った介護技術の基本をまとめたものだ。
著者の1人、髙山彰彦さんは、長年の在宅介護サービス業に関わる中で、60歳を超えたホームヘルパーや、老老介護で体を痛めながら介護に携わる人を見て、体を壊さない介護はないだろうかと思ったという。
また、もう1人の著者である髙山美佐子さんは、自身が腰痛などで介護職を続けることが困難になった経験から、腰に負担のない介護技術を探し求めた経緯がある。
<介護が必要になることは、自分らしくあり続けることが困難になっていく体験です。介護する人も、介護で体を痛めると大切にしたい人を大切にできなくなったり、介護者自身が自分らしくいることができなくなってしまいます。
だからこそ、介護される人も、介護する人も、お互いに自分らしく共に輝き続けられる社会を目指したいと思い、出版に至りました。
介護とは「大切にしたい人を大切にする、人を大切にできる自分を大切に思える」最も人間らしい行為であってほしいと望みます。>
本書は、まず介護(介助)技術、重心移動、介助時の注意について触れた後、車イス介助、起立介助、移乗介助、歩行介助について解説している。
どの介助方法にも写真が多く使われ、ポイントとなる動作は円で囲み、体を傾けた時にどの方向に力がかかっているのかを矢印で表すなどして、安全に負担を少なく介助できる根拠が一目でわかるようになっている。
良い例と悪い例の両方の写真が掲載されているので、何が間違っているのかもわかりやすい。
ほんの少し足を前にずらすなど、ちょっとしたことで重心の位置が変わって移動が簡単にできるようになるので、日頃の介護で上手くいかないことがあるというときに参考にできる。
重要な箇所についてはチェックポイントもあり、自分で実際に動いて確認できるようにワンポイントレッスンもつけられている。
たとえば、手すりを持って立つ場合、高いところを持った時と低いところを持った時では、どちらが立ちやすいかといったことが解説されている。
実際の動きを体感することで、利用者が快適に介護を受けているのかを意識できるようになるのではないだろうか。
各章の終わりには「ひとやすみ」というコラムがあり、著者がこれまでに出会った利用者とのさまざまなエピソードも紹介されている。
介助をする上での失敗談も語られているが、失敗から学んだこともあり、すべての経験が介護職としての後のスキルアップにつながっていることを教えてくれる。
介護される人には快適で、介護する人には無理のない、お互いに負担の少ない介護技術を習得したいと考えている介護職の方には、ぜひ読んでいただきたい。
著者プロフィール
髙山 彰彦(たかやま・あきひこ)さん
一般社団法人幸せ介護創造ファクトリー代表理事。保健体育教員資格、社会福祉士、介護支援専門員、社会福祉修士。体育大学を卒業後、有料老人ホームケアワーカー、特別養護老人ホームなどで生活指導員、在宅介護支援センターケースワーカー、介護福祉士養成校教員、大手介護事業所において人材育成部長を歴任し、新人育成から管理職の育成に至るまでの育成プログラムを構築し運用。多くの介護職の育成に携わる。
髙山 美佐子(たかやま・みさこ)さん
一般社団法人幸せ介護創造ファクトリー理事。介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉主事、介護教員資格など。介護保険制度創設と同時にデイサービス、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、訪問介護サービスなどで介護職として勤務。訪問介護サービスやデイサービスの新規立ち上げや管理職などを経て、介護系資格講座の講師や専門学校や大学などの教員として後進の育成に携わり、一般企業などで介護退職防止セミナーや外国人介護職の指導、人材育成プラン構築などの講師としても活動。