■書名:やわらかく、飲み込みやすい 高齢者の食事メニュー122
■監修:中村 育子
■出版社:ナツメ社
■発行年月:2017年2月
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介護現場で使えるレシピが満載!高齢者にも「自分で食べる幸せ」を
食べることは生きること。
食事は生きていくのに必要なエネルギーを摂取するだけではなく、楽しみをも与えてくれる。
おいしい食事が食べられるのは、幸せなことだ。
しかし、高齢者になると、その“食べる”という幸せな行為が当たり前にできなくなってくる。
加齢や病気のために、噛めない、飲み込めない、味がわからない、消化不良になるなど、若い頃のように食べることができなくなっている高齢者も多い。
介護職として在宅介護をサポートしていく中で、いわゆる低栄養に陥っている高齢者を目の当たりにしている方も多いのではないだろうか。
また、グループホームなどで高齢者に合った料理のメニューに困ったということもあるだろう。
そんなときの力強い味方となってくれるのが本書だ。
本書を監修している中村育子さんは、在宅訪問管理栄養士として、認知症、糖尿病、腎臓病など1000人にのぼる患者の食生活を劇的に改善させてきた、栄養についてのプロだ。
<高齢者に必要なエネルギー量は若者に比べれば減りますが、たんぱく質、カルシウムや鉄分などのミネラル、ビタミン類、食物繊維などの栄養素は若者と同じくらい摂取する必要があります。しかし限られた食事量で、これらの栄養素を摂取するには、食材の選び方、作り方を工夫する必要があります。>
本書では、高齢者の身体の変化について初めに解説。
五感の衰え、唾液、消化液の低減、噛む力や飲み込む力の低下などによって、これまでの食事ができなくなるということがわかる。
そして、食べ物の固さや形が高齢者に合っていなくて食べにくくなっていることも指摘。
食べやすさに配慮した食品として制定されている「ユニバーサルデザインフード(UDF)」の目安も紹介している。
また、高齢者の好む食事、苦手な食べ物とその調理法も簡潔にまとめられている。
栄養バランスのとれた食事になるように、6つの基礎食品群も表にして掲載している。
主食・主菜、副菜、汁物を全部で122品のレシピを紹介。
・介護用食品や冷凍食品、レトルト食品を活用した簡単でおいしいレシピ
・1つのレシピについて、「弱い力でかめる」「歯ぐきでつぶせる程度」「舌でつぶせる程度」「かまなくてよい程度」の4段階の固さでの作り方
・食欲低下や低栄養予防、便秘や下痢のときなど、症状・目的別に選べるレシピ
というポイントで、さまざまタイプの高齢者に対応できるように工夫されている。
高齢者の食事というと、淡泊で質素な献立になってしまうイメージがあるかもしれない。
しかし、本書で紹介されているレシピは普通の料理本と同じように、バラエティーに富んでいる。
たとえば特別な日のごちそうレシピとして、誕生日、敬老の日、クリスマスのごちそうも掲載。
オールカラーの写真がふんだんに使われていて、見るからに「おいしそう!食べたい!」という気持ちになることだろう。
とろみ調整食品の正しい使い方、誤嚥を防ぐ食べ方といったコラムも掲載。
巻末には材料別料理索引もあり、目当ての料理が手早く見つけられるようになっている。
「人生最期までおいしく食べたい」…高齢者が望んでいる、ささやかだが大事な幸せを介護現場でサポートできる実用本だ。
監修者プロフィール
中村 育子(なかむら・いくこ)さん
1994年、女子栄養大学栄養学部卒業。2011年、同大学院栄養学研究科栄養学専攻修士課程卒業。1944年より板橋区立西台高齢者在宅サービスセンター勤務。1977年、医療法人社団福寿会福岡クリニック在宅部栄養課に入職。一般社団法人日本在宅栄養管理学会(訪栄研)副理事長。在宅訪問管理栄養士として、栄養指導を行うスペシャリスト。2014年には「NHKプロフェッショナル 仕事の流儀」に出演。