■書名:高齢者と楽しむマジック~介護支援ボランティアに役立つ手品ベスト32
■著者:藤原 邦恭
■発行元:いかだ社
■発行年月:2013年3月12日
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マジック初心者の介護職でもできる! レクリエーションで盛り上がるネタを紹介
マジックは、介護施設で利用者に楽しんでもらえるレクリエーションとして、魅力的なメニューのひとつだ。とはいえ実際に取り入れるとなると、マジック初心者の介護スタッフには少しハードルが高いのも事実だろう。
今回紹介するのは、まさにそうしたジレンマを抱える介護スタッフのために書かれた一冊。プロのマジッククリエイターとして活躍する著者・藤原邦恭さんが、「高齢者と楽しむ」というコンセプトで選んだ32のマジックを伝授してくれる。
紹介される32のマジックは、以下のように3つに分類されている。
●交流のためのレクマジック
●親しみと安心感を
●はっきりシンプルなものを
「交流のためのレクマジック」では、新聞紙を使ったバランス芸や切り紙のマジックなどを紹介。マジックを見せるだけでなく、利用者と一緒にトライしたり、部分的に参加してもらうことができる。
次に「親しみと安心感を」では、会話ややりとりを楽しむマジックを紹介。利用者にマジックを応援してもらったり、文字を示して読み上げてもらったりといったやりとりがコミュニケーションのきっかけになる。
3つめの「はっきりシンプルなものを」は、シンプルだが動きがあって高齢者の興味を引きやすいマジック。紙袋の中のお菓子が増えたり、丸めたティッシュペーパーから紙テープが滝のように流れ落ちたりする。
マジックの特徴を押さえたうえでメニューを選べば、利用者を飽きさせずにレクリエーションを盛り上げることができるだろう。
それぞれのマジックは、動作に合わせたトークとともに楽しいイラストで順を追って紹介される。まずは読んでいる私たちも、「え?なぜそうなるの?」と実際にマジックを見ているような気持ちで楽しめる。そのあとに、準備や手順をじっくり読めば種明かしとなる。マジック中のトークも書かれているので、そのまま取り入れるだけで、すぐにマジシャンらしい演技ができるはずだ。
本書の特長のひとつが、「いわゆるマジックグッズを用いず一般の素材を使ったマジックの解説」という点だ。介護施設にあるものや簡単に手に入るものを利用してマジックができる。仕掛けも、ハサミやセロテープがあれば簡単に作れるものばかり。やってみようと思ったら、すぐに練習に取りかかれる敷居の低さが本書の魅力と言えるだろう。
「マジックの初心者やマジックをコミュニケーションとして活用したい方にも利用していただける内容」と著者が太鼓判を押している。マジックが初めての介護職もまずは実際にトライしてはいかがだろうか。本書には、失敗しないコツのほか、盛り上げるトーク術などワンポイントのアドバイスも紹介されているので、初心者も挑戦しやすい。
最後に、マジックを利用者の健康維持のために活用する方法も掲載。利用者がマジックの練習をすることで、指先のトレーニングや、頭と手先の体操になるという。ゲーム感覚で練習してもらったり、レクリエーションに取り入れることで楽しみながらの運動にも役立つ。応用編として参考にしてほしい。
著者は、マジックについて次のように述べている。
<マジックは見る人や演じる人を幸せにする力があると私は信じています。>
<中には不思議なものもありますし、そうでないものもあります。どちらにせよ終わった後、「楽しかった」と言ってもらえれば最高です。>
マジックを高齢者レクリエーションとして成功させるコツは、演じる介護スタッフも心から楽しんで取り組むことかもしれない。「レクリエーションなんて面倒だなあ」と少しでも感じているのなら、ぜひ、マジックの幸せにする力を信じて、楽しみながら挑戦してみてはいかがだろうか。
<小田>
著者プロフィール
藤原 邦恭(ふじわら・くにやす)さん
マジックを始めたのは小学生の頃で、中学生になるとオリジナルの開発を始めた。1990年、日本初のプロマジッククリエイターとしてデビュー。マジックや夢のある遊びを創案し、マジックグッズや書籍、TVや講演を通して、国内外で藤原ワールドを展開中。著書に『1日10分 大人が楽しむはじめてのマジックトレーニングBOOK』ほか多数。