■書名:お年寄りが笑顔になる 楽しい壁面かざり12か月
■監修:小池 寛子
■発行元:ナツメ社
■発行年月:2013年5月17日
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高齢者が楽しく作れて見栄えもいい、壁面飾りのアイデア集
介護施設の中には、壁に利用者やスタッフが作った折り紙や切り絵などの作品を飾っているところも多い。四季折々の花、身近な動物たち、風物詩などを表現した作品たちに心和む思いをした人も多いのではないだろうか。
本書は、介護施設で働くスタッフに向けて、季節ごとの壁面飾りのアイデアを12カ月分紹介した本。ちぎり絵や折り紙を駆使して作った壁面飾りは、どれも見栄えのいいものばかり。例えば下記のようなものが紹介されている。
・ちぎり絵で作る「お花見」(4月)
・折り紙で作る「かぶと」(5月)
・てるてる坊主を作って飾る「てるてる坊主」(6月)
・紙テープを使う「ひまわり」(8月)
壁面飾りというと、ちぎり絵や折り紙などを貼って作るイメージが強い。しかし本書ではそれだけに留まらない、飾りつけのアイデアを数多く紹介。花作りなどに使われる紙テープを、より花びららしく仕上げるコツや、ススキの穂のふわふわ感を表現するためにティッシュを用いるアイデア、効果的なグラデーション折り紙の使い方など。
「なるほど、こんな作り方があるのか!」とすぐにでも始めたくなってくる。
監修者の小池寛子さんは「手作業は高齢者の方にとって、大切な活動のひとつです」と語っている。壁面飾りには細かな作業を要するため、利用者にとっては指先のリハビリにもなるという。
本書での作品作りに含まれている作業は、下記のようなものだ。
・紙を「ちぎる」
・「より合わせる」
・「貼る」
・「折る」
・「丸める」
・「書く」
・「塗る」
・「切る」
バランスよくさまざまな作業が取り入れられているため、利用者の健康状態やレベルに合わせて、作業に取り掛かることができる。ひとつひとつの作り方はシンプルだが、それを組み合わせ、ひとつの作品が完成したときの利用者の喜びはひとしおではないだろうか。
<みなさんと楽しい時間を過ごす室内…この環境作りは重要です(中略)。利用者の方と一緒にものを作り、飾っていく。手を動かしていくなかから会話が生まれ、普段お話しない方との接点にもつながります。>
本書は、高齢者向けとはなっているが、クリスマスやハロウィン、バレンタインなど若者になじみの深いイベントの壁面飾りも紹介。若い介護スタッフも楽しく取り組むことができるだろう。
また、壁面飾りといった大きな作品だけではなく、カードやカレンダーなど小物の作り方も収録しているので、幅広く活用できそうだ。介護施設の彩り豊かな楽しい生活空間づくりの助けとなるだろう。
<松原圭子>
著者プロフィール
小池寛子(こいけ・ひろこ)さん
1969年生まれ。介護福祉士。特別養護老人ホームに従事したのち13年前から「株式会社 木下の介護」に勤務。現在は有料老人ホーム「ライフコミューン」施設長を務める。