■書名:感動が幸せな職場をつくる ~たんぽぽ介護の天使たち~
■著者:筒井 健一郎
■発行元:あさ出版
■発行年月:2014年11月19日
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「介護業界のディズニーランド」をめざす!たんぽぽ介護の取り組みを紹介
本書は、2010年に愛知県一宮市にオープンしたデイサービス施設「たんぽぽ温泉デイサービス一宮」の取り組みや成果、働く従業員の声を収めたものだ。
同施設は、一般的なデイサービス施設とはかなり異なる。
たとえば、利用者に提供するリハビリプログラム。一般的なデイサービスでは、利用者が一律に同じプログラムを提供する「一斉集団形式」が多い。しかし同施設は250種類以上ものリハビリメニューを用意しているという。
例を挙げると・・・
●プールやエクササイズなどの運動系
●「パン教室」「パソコン教室」といったカルチャー系
●「マージャン」「カラオケ」などの娯楽系 など
利用者は自分の好きなものを選び、1日の過ごし方を自由に組み立てられるという。
敷地内には温泉が湧き出ているため、利用者は療養の一環として温泉を楽しむことができる。入浴施設はいつもにぎわっており、利用者同士、お湯につかりながら話に花を咲かせる様子がよく見られるという。
そのほか、昼食はバイキング形式、リハビリを行うことで貯められる施設内通貨を導入するなど、どれも画期的だ。利用者が「また来たい」という気持ちが持てる仕組みとなっており、「訪れた人がみんな笑顔になる、介護のディズニーランドを目指す」という目標にもうなずける。
同施設の工夫は、利用者に対してだけに留まらない。「ディズニーランドのように、笑顔でキャスト(従業員)が働ける環境づくり」にも力を入れているのだ。
「従業員満足こそが顧客満足につながる」という考えで、下記のような取り組みを行っている。
●残業なし・休日出勤をなくす
●子育てと家庭の都合を最優先させる
●従業員を育てる委員会活動
●やり方は部下にまかせ、従業員の「伸びしろ」を養う
●スタッフ同士の信頼を強める「サンキューカード」の実践
女性のパート従業員が9割以上という同施設のスタッフが、気兼ねなく子育てを優先して働ける仕組みや、プロ意識を持って取り組めること、不安点をすぐ解消でき、感謝と信頼を感じられる環境であることに力を入れている。そのため、同施設の新人スタッフの離職率は1割と低く、定着率が高いという。
<訪れた人、みんなが笑顔になる、まさに介護のディズニーランドでありたい。ディズニーランドには、イキイキとした笑顔で働く従業員(キャスト)がいます。
自分を認めてくれる先輩や仲間がいて、お互いに助け合い、補い合う。そのような関係が土台にあるからこそ、幸せと感動を生み、ゲストは何度もリピートしたくなります>
第2章では、実際に働いているスタッフの声を紹介。利用者への心配りや気遣い、新人スタッフに対するきめ細かなフォローの様子など、どれも心温まるエピソードであふれている。
第3章では、実際に職場づくりをしていくうえでのノウハウを掲載。従業員がモチベーション高く働ける環境づくりについて紹介している。
利用者と従業員、ともに笑顔でいられる工夫が満載の「たんぽぽ温泉デイサービス一宮」。ヒントになる点が、いろいろありそうだ。
<松原圭子>
著者プロフィール
筒井 健一郎(つつい・けんいちろう)さん
たんぽぽ介護センター代表取締役。大分県玖珠町生まれ。中学卒業後、東レ株式会社に入社。企業内学校に通う。その後、さまざまな職を経験し、1983年に物流会社を設立。社長を退任後、ステラリンク株式会社に入社し、1999年に代表取締役社長就任。翌年に介護保険事業に参入し、現在、12の事業所を運営している。