介護の仕事は、利用者の生活に寄り添う仕事。人として成長することもでき、他の仕事に代えがたい魅力があります。しかし一方で、肉体的・精神的なストレスは少なくありません。介護特有の仕事のストレス、人間関係のストレス、給与や体力への不安…
介護福祉士・心理カウンセラーの篠雅行さんがアナタのお悩みにアドバイスします。
今週のお悩み事例
まさしさん(20歳 グループホーム)
専門学校を卒業してグループホームに就職しました。
私以外の職員は、自分の親ほどに年の離れた女性ばかりで、同世代が一人もいません。仕事の愚痴や相談をしたり、時にはプライベートや趣味の話もしたい。でも、話しにくいし、どうせ話が合わない気がして…気軽に話せる同僚がいないので、つらいです。
篠さんからのアドバイス
まさしさん、日々のお仕事おつかれさまです。
学生時代と違い、社会に出るとさまざまな年代の人とコミュニケーションをとる必要があります。
これまでは、常に同年代の友人たちと勉強したり、遊んだりしていたまさしさんにとっては、カルチャーショックに感じたり、話し相手がいないと悩まれているのかもしれませんね。当然のことだと思います。
ただ、今の状況を悲観していても現実は変わりません。
ちょっとだけ思考を切り替えてみるのはいかがでしょうか。
その先輩たちと仲良くなるにはどうしたらいいか?
気軽に話せるようになるには何をすればよいのか?
考えてみませんか?
今のまさしさんは、年が離れているから、性別が違うから、共通点がないとあきらめて、コミュニケーションのきっかけを自分から捨ててしまっているかもしれません。
まさしさんと先輩女性たちには、同じ職場で一緒に働いているという大きな共通点があります。つまり、共有できる話題があります。
きっかけの作り方はさまざまありますが、私なら以下のようなことをやって、その先輩女性との接点を増やしていこうと考えます。
●自分のほうから笑顔で元気に挨拶する
●仕事でサポートしてもらったときなど感謝の気持ちを伝える
●お菓子など差し入れをする
●飲み会に参加する、飲み会を企画する
その女性の先輩たちは年齢の分、まさしさんより多くの人生経験を積んでいます。
まさしさんが体験したことのない面白い話が聞けるかもしれません。まさしさんのこれからの人生の参考になるような苦労話も話してくれるかもしれません。それらは同世代の人たちとだけ付き合っていては、聞けないことです。
とは言っても、たまには同じ年代の人たちと話したいこともありますよね。同世代だから共感できることがあるのもわかります。先輩じゃなくて、同世代で同じような仕事の悩み抱える仲間が欲しい時もあるはずです。
同年代のスタッフが入社するまで待つというのもありますが、いつになるかわかりません。
では、同年代で介護の仕事をする人たちと出会うきっかけを、職場以外で作ってはどうでしょう?どうすれば出会えるだろうか?と悩まれるかもしれませんが、今はインターネットもあるし、スマホもあるし、いつでもどこでも誰かとコミュニケーションをとる手段はあります。
介護の仕事をする人たちがSNSで交流し、実際に集まったりもしています。そんな会を探したり、職場の人に紹介してもらったり、方法はいろいろあるはずです。まさしさんと同じように、職場に同世代がいないと悩み、まさしさんと出会うことを待ち望んでいる人もいるかもしれませんよ。
まさしさんからきっかけを作り、いろんな人とのつながりを広げてみようと考えてみるのはいかがでしょうか。それは、まさしさんの人生を豊かにすることだと思います。応援しています!
プロフィール
篠雅行(しの・まさゆき)
老人ホームや在宅介護事業所、障害者授産施設で介護職を務めるなかで、介護業界で働く人を精神的にサポートしたいと思い、カウンセラーの勉強を始める。介護福祉士、認定心理士、一般社団法人心理技能振興会 心理カウンセラーの資格を持つ。
公開日:2015/4/9
最終更新日:2020/1/21