転職をきっかけに新しい知識・スキルを学びたい意欲のある人を応援!職業訓練を受講しながら、資金の貸し付けが利用できる公的制度「求職者支援資金融資」をご紹介します。
転職活動の際、できるなら「未経験の職種に挑戦したい」「スキルアップして職場を決めたい」と考えることがありますよね。しかし、生活費が足りるのか不安で、学習に没頭できないと悩んでいる方もいるのでは?
今回は、職業訓練を受講しながら、資金の貸付が利用できる「求職者支援資金融資」について詳しく紹介します。
転職をきっかけに新しい知識・スキルを学ぶ意欲のある方を応援する制度ですので、ぜひご覧ください。
職業訓練を受講する方を支援する「職業訓練受講給付金」をご存じでしょうか。雇用保険の対象外であっても、職業訓練を受講する方に月々10万円を給付してくれる心強い制度です。
それとは別に存在するのが、「求職者支援資金融資」の貸付制度です。
求職者支援資金融資は、月々10万円の支給だけでは生活が困窮する方に向けて資金を“貸してくれる”制度です。
金銭的なリスクを小さくして不安を抑えた状態で転職を前向きに行う手助けになる制度です。これから貸付金額や返済方法などの細かいルールについて紹介していきます。
求職者支援資金融資は、全員が受けることができるものではありません。対象者には条件があるので、自分に該当しているのか確認してから検討しましょう。
条件は以下の2点どちらも満たしている方が、利用可能です。
①職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方
すなわち職業訓練を受ける必要があります。
②ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方
「求職者支援資金融資要件確認書」の交付を受けるには、以下の3つが条件になります。
・貸付を希望する理由が適当と認められる
・貸付金を返済する意思があると認められる
・暴力団員ではない
職業訓練とは、ハローワークが無料提供しているスキル習得のための研修制度です。再就職やスキルアップ、未経験職種を目指す方を応援するための仕組みになっています。
研修内容は事務、介護、IT、建設、製造、デザイン、Web設計などの、時代のニーズに即した多種多様なコースを網羅しているので、一人ひとりにピッタリのコースが見つかるでしょう。受講期間は講座によって、2ヵ月から2年と幅広くなっています。更に受講期間中、生活費を支援してくれる制度が充実していますので、生活面で不安な方にも、これらの制度を利用しながら安心して受講することができます。
職業訓練受講給付金とは、雇用保険の対象外の方が職業訓練中に給付金を受け取れる制度です。
再就職を目指す方に向けて、厚生労働省が実施している支援策であり、給付金を受け取りながら再就職に必要な知識やスキルを手に入れることができる便利な制度です。この制度を利用することで、転職をきっかけにスキルアップや未経験の業種への転職を希望する人は金銭的負担を小さくできます。
支給金額は、以下の3つがセットになっています。
①「就職訓練受講手当」:一律月額10万円
②「通所手当」:訓練実施施設に通うために必要な交通費(月上限42,500円)
③「寄宿手当」:自宅から通うのが困難な場合など(月額10,700円)
給付金は全ての人に受け取れるわけではなく、収入額や世帯の金融資産などの条件があります。
詳しい内容はこちらの記事で紹介しています。
>職業訓練受講給付金とは?給付金をもらいながら資格が取れるお得な制度をご紹介
求職者支援資金融資の貸付額は、“生計を一にする家族”の有無により異なります。条件によって貸付額が変わるので、条件を確認しておきましょう。
厚生労働省では、以下のように説明しています。
同居または生計を一にする別居の配偶者、子または父母のいずれかがいる場合
⇒月額10万円(上限)×受講予定訓練月額(最大12ヵ月)
上記以外の場合(単身者など)
⇒月額5万円(上限)×受講予定訓練月額(最大12ヵ月)
貸付金額は1万円単位で選べますので、自分に必要な金額を把握して借りるようにしましょう。
求職者支援資金融資は、職業訓練中にも受け取れます。
以下2点を受けると、手続きに進むことができます。
・職業訓練受講給付金の支給決定
・求職者支援資金融資要件確認書の交付
ハローワークでの手続きを終えた後、次はろうきんで融資の手続きを行います。手続きが完了すると、約1ヵ月後には振り込まれますが、正確な日程が決まっているわけではありませんので「いつお金が振り込まれる」と断言はできません。
各地域のハローワークや、ろうきんの手続きなどによって、振込時期が異なります。資金が必要な方は、早めにハローワークへの問い合わせや手続きを済ませておきましょう。
また資金は、貸付総額が一括で振り込まれます。家族構成などから貸付可能金額を割り出し、受講予定訓練月額を計算します。注意点として、振込口座はろうきんのものに限定されています。持っていない場合は、口座開設をする必要があるのです。
金融機関からお金を借りる際、手数料として「貸付利息」が発生します。借りたお金とあわせて、支払わなければなりません。
求職者支援資金融資も同様に利息が発生し、貸付利率は年3.0%です。これは、返済できなかった時の保証「信用保証料」0.5%を含む利率となっています。
つまり、借りたお金に対して年間3.0%の利息が付くことになります。さらに、万が一、元金と利息の返済が遅れた場合は、遅延している元金に対して年14.5%の損害金(遅延利息)の支払い義務が発生しますので、返済は遅れないように気をつけましょう。
金利とはお金を借りた人(融資を受ける人)が貸した人(金融機関)に対して、手数料として支払う金額の割合です。
お金を借りると借りた分以上の金額と返済しないといけないので金利には注意しなければいけません。
返済する金額は借りた金額と金利を計算し、支払う金額を割り出します。借りた金額、金利の違いで追加支払いの金額が変わってきます。なお、「年利」とは、1年当たりの金利のことを言います。
求職者支援資金融資の返済は、口座からの引き落としになっており、本人名義のろうきんの口座から毎月末日に、自動的に引き落とされます。
引き落としに残高不足にならないように、余裕を持って所定の口座へ入金しておきましょう。
万が一期日通りに返済できないと、年14.5%の高い金利を支払うことになってしまうので注意しましょう。
また返済開始日については、「職業訓練が終了した時」または「就職が決定し訓練を辞めた時」のいずれかの日の翌月から返済がはじまります。
ちなみに、訓練終了月の3ヵ月後の末日までは、元金(借りた金額)は据え置きで、利息のみの返済になります。理由として訓練終了後すぐは、収入が安定していない可能性があるからです。訓練終了月の4ヵ月後の末日以降から、貸付日から5年または10年以内に「元利均等払い」により返済します。
ただし不正受給などが発覚した場合は、直ちに全額を一括返済しなければなりません。
また求職者支援資金融資は、あくまでも“お金を借りられる”支援制度。返済が免除される制度は存在しません。いずれは利息を含めて、全額を返済する必要があるので、返済可能な金額を計画し、必要な分だけ借りるようにしましょう。
ローンを返済する方法の一種である「元利均等返済」は、毎月の返済額が一定となる返済方法です。
金融機関に借りたお金「元金」と、その手数料である「利息」。これらを合わせた返済額を、毎月均等に割って返済していく方法なので、返済計画が立てやすいのがメリットです。
求職者支援資金融資の返済は、「元利均等返済」の方式が採用されています。
一方で、一般的なローンの返済には、返済元金が一定で利息が変動する「元金均等返済」があります。毎月の返済金額が変わるのが特徴です。元金均等返済は、返済開始日の負担が大きいと言われています。
求職者支援資金融資の返済は、訓練終了月の4ヵ月後の末日より、毎月支払いが始まります。(1か月後~3か月後の末日は利息のみの返済)
返済期間は貸付金額によって異なります。
■貸付金額が50万円以内の場合:貸付日から5年以内
■貸付金額が50万円以上の場合:貸付日から10年以内
上記の期間内に、返済を完了させる必要があります。
さらに条件として、65歳までに全て返済しなければなりません。
ここまで求職者支援資金融資の内容について、比較的細かく説明してきました。
しかし文章を読んでいるだけでは、実際に「どんな返済計画になるのか」「利息はどれくらい付くのか」がイメージしづらいことでしょう。ここでは具体的に数字を挙げて、シミュレーションしていきます。
例として、『月5万円を12ヵ月』借りたとしましょう。
元金(借りた金額)は600,000円になりますが、利息は月々の返済金額で異なります。長い期間お金を借りるほど、利息がかかってくるのです。
以下に2つの具体例を挙げ、説明していきます。
<毎月1万円を返済する場合>
職業訓練終了の翌月から返済がスタート。
最初の3ヵ月間は元金据え置き期間となり、利息のみの返済になります。
■1ヵ月目~3ヵ月目
月50,000円を借りた分の、3.0%の利息1,500円を、3ヵ月間返済していきます。
■4ヵ月目以降
4ヵ月目からは、元金と利息を返済します。
元金と利息の合計が10,000円になるようにすると、5年8ヵ月(68ヵ月)で全額返済が完了する計算になります。
元金と利息の合計655,351円を返済することになります。
<元金を5年かけて全額返済する場合>
最初の3ヵ月間は元金据え置き期間となり、利息のみの返済になります。
月50,000円を借りた分の、3.0%の利息1,500円を、3ヵ月間返済していきます。
4ヵ月目から月々11,307円を返済し、60ヵ月で全額の返済が完了。
元金と利息の合計648,987円を返済することになります。
いずれも、返済時の借入残高に対して、貸付利息が付くことになります。そのため、長くお金を借りるほど金利が付き、返済金額が増えるのです。
求職者支援資金融資の申請に必要な書類は、以下3点になります。
・本人確認書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
・求職者支援資金融資要件確認書:ハローワークで受け取ります
・決定を受けたことが分かる書類(給付金支給記録の写しなど)
これらの書類を、ハローワークが指定するろうきんに持参して貸付の手続きを行います。
求職者支援資金融資を申請する手順を、簡単に紹介します。
ステップ1:ハローワークで説明を受ける
まずはハローワークで求職者支援資金融資を利用したい旨を伝え、説明を受けましょう。
求職者支援資金融資の内容を理解した状態で手続きを行い、申請に必要な書類を受け取ります。
ステップ2:職業訓練受講給付金の受給決定を受ける
求職者支援資金融資を利用する条件は、職業訓練を受講し「職業訓練受講給付金」を受け取っていることです。
最初に職業訓練受講給付金の手続きから行い、受給決定を受けましょう。
ステップ3:労働金庫で貸付手続きをする
ハローワークが指定するろうきんで、貸付の手続きを行います。
求職者支援資金融資要件確認書や支給決定を受けたことが分かる書類、顔写真付きの本人確認などが必要になります。
ろうきんの口座がない場合は、口座開設をする必要があります。
ステップ4:審査通過後、融資を受ける
貸付金額が一括で、ろうきんの口座へ入金されます。
事前に手順を理解しておくとスムーズに申請を行うことができます。ほとんどの人が申請ははじめてだと思いますので詳しくは各機関に聞きながら手続きを行いましょう。
融資を受ける際に、保証人や担保人は必要ありません。保証人の心配がある人にも受けやすい制度になっています。
しかし、保証人・担保人が必要ない代わりに、ろうきんが指定する「信用保証機関」の利用が必要になります。万が一返済が滞った際には、信用保証機関が代わりに返済してくれますが、その後、保証機関へ債務を返済しましょう。信用保証機関を利用しますので、貸付利率の3.0%の中に保証料0.5%が含まれています。
求職者支援資金融資を利用するには、本人名義のろうきんの口座が必要になります。ろうきんの口座から貸付を行い、返済をしなければならないのです。
他の金融機関ではなくろうきんの口座が必要になりますので、ろうきんの口座を持っていない方は、ハローワークの指定する支店で口座開設を行いましょう。
ろうきんで口座開設し、貸付の手続きが完了したら融資の“審査”が必要になります。求職者支援資金融資は公的な制度とは言え「貸付」に変わりありませんので貸付に適切な人なのか判断しなければいけません。
そのため審査に通った方しか、融資を受けられません。
審査内容として「返済能力があるか」を、ろうきんが様々な情報から判断します。審査には1ヵ月程度かかると言われていますが、場合により変動します。また、いつ振り込まれるのか、明確にお伝えすることはできませんので早めに手続きをしておきましょう。
求職者支援資金融資の審査は必ず通るとは言えません。公的な制度とは言え、審査するのは金融機関であるろうきんです。
求職者に使いやすい制度ですが、特別に通りやすいとは言えないでしょう。そのため、金融機関の審査において、気を付けたいのが「信用情報」です。信用情報とは、クレジットカードやローンの返済履歴などが記録されたもので、ろうきんでの利用履歴だけでなく、他の銀行の情報も掲載されています。
もし、過去にローンの返済が遅れた経験があると審査に落ちることもあります。信用情報によって「返済能力がない」と判断され、審査に通らない可能性が高いと言われています。しかし、自分では判断せずに相談したり、実際に申請をしてみるようにしましょう。
繰り返しになりますが、求職者支援資金融資は「貸付」です。公的な制度ですが、あくまでも金融機関が比較的少ない利率でお金を貸してくれる制度になります。
返済免除などの仕組みはなく、全額返済する義務がありますので、制度を利用する前に返済計画をたてておきましょう。求職者支援資金融資は職業訓練受講給付金の「支給」とは異なる点を理解しておきましょう。
求職者支援資金融資は、再就職や新しいキャリアを目指す方を応援する制度です。
ルールに反すると不正受給となり、貸付金額を一括返済しなければなりませんので目的から外れた不正受給は絶対にNGです。
受給停止・一括返済に繋がる具体的なケースは、以下の3つになります。
①就職支援拒否により、給付金が不支給になった場合
※求職者支援資金融資は就職したい気持ちがある方に対して、生活費などの金銭面をサポートする制度です。就職支援を拒否すると、融資を受けることができません。
②不正受給により、給付金が不支給になった場合
③確認申請書類の虚偽記載などによる貸し付けの不正利用が発生した場合
※②③は場合によっては、詐欺罪などで訴えられることもあります。
Q.求職者支援資金融資の使用用途に制限はある?
求職者支援資金融資は生活費などが足りない方にしか、貸出ができません。
そもそも求職者支援資金融資は、職業訓練を受ける際に生活費を補助してくれる貸付制度です。よって借りたお金を生活費以外に使用することはは控えましょう。
さらに金利が優遇されるとは言え、タダでお金を借りられるわけではありませんので、生活に必要な金額だけを借りるようにしましょう。
貸付金額は1万円単位で指定できるので、必要な分だけ借りて計画的に返済するようにしましょう。
Q.審査に落ちることはある?
融資の審査に落ちる可能性はあり、もし、審査に落ちると融資を受けることができません。求職者支援資金融資は“公的な制度”ですが、審査を行っているのは、金融機関であるろうきんです。審査基準は明確にされていませんが「返済能力があるか」を、お金を借りる一人ひとりに対して判断します。他のローンと比べて金利が優遇されますが、“審査が通りやすい”ということはないでしょう。
Q.返済が遅れた場合はどうなる?
返済が遅れると、ペナルティを課されます。
ペナルティの内容は、支払いが遅れている元金に対して年14.5%の遅延利息の支払い義務を命じられるものです。
例えば50,000円の支払い利息は、通常3%であれば1,500円。
しかし、遅延利息14.5%だと7,250円と、大幅に金額が高くなっています。
支払いが遅れないように、口座には早めに入金しておくよう心掛けましょう。
Q.途中で職業訓練を辞めたらどうなる?
「就職先決定」や「家庭の事情」などにより、職業訓練を途中で辞めることは珍しくありません。その際、求職者支援資金融資を利用している方は注意が必要です。
訓練を辞めた日から1ヵ月以内にハローワークへ届け出をし、ろうきんで契約変更手続きを行う必要があります。
期限内に変更手続きができないと、借りているお金を一括返済しなければなりません。
求職者支援資金融資は職業訓練を受講している間の生活費を、一時的に貸し出してくれる制度です。
銀行が打ち出す他のローンと比較すると、低金利で借りられるのが特徴です。
キャリアアップや希望する就職を目指す方に対して、金銭面でサポートしてる心強い制度ですので、新しい知識やスキルを身につけたいけど金銭面が心配である人を助けてくれます。興味のある方は、一度ハローワークに相談してみましょう。
しかし、手厚いサポート制度ですが、あくまでも “借りている”お金で、いずれは金利と一緒に返さなければなりませんので、「必要な金額」かつ「返済見込みがある金額」を借りるよう、しっかりと検討しましょう。
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