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教育訓練給付金は、このような方々を対象にした、仕事で必要となる資格取得や講習などにかかる費用を国が補助してくれる制度です。
今回は、教育訓練給付金の種類、対象者、対象となる資格や講座、手続き方法などについて詳しく紹介します。
教育訓練給付制度とは、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的とした制度です。
厚生労働大臣が指定した教育訓練が対象で、教育訓練に要した費用の一部が補助されます。
支給率については教育訓練のレベルによって異なります。
教育訓練給付制度は全部で3種類。「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」があります。
1.専門実践教育訓練
教育訓練給付制度の中では最もレベルが高く、特に労働者の中長期的なキャリア形成に資する教育訓練が対象となります。介護福祉士や看護師などの資格取得講座、専門職大学院の課程など。
2.特定一般教育訓練
教育訓練給付制度における中レベルを対象とし、特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象となります。介護職員初任者研修、税理士の取得講座など。
3.一般教育訓練
教育訓練給付制度の中では比較的容易で、雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象となります。英語検定、簿記検定、ITパスポートの取得講座など。
教育訓練給付金の対象者の条件として、まず教育訓練の受講を開始した日において在職中でかつ雇用保険に加入しているかどうかがポイントになります。
雇用保険に加入していない場合は原則として離職してから1年以内でなければ対象者にはなりません。
次に、過去に教育訓練給付を受けたことがあるかどうかになります。
教育訓練給付を受けたことがある場合は、前回の受講開始日以降で雇用保険の加入期間が3年以上なければ教育訓練給付の対象者にはなれません。
過去に教育訓練給付を受けたことがない場合は、雇用保険の加入期間が1年以上あれば「一般教育訓練給付」か「特定一般教育訓練給付」を受けることができ、雇用保険の加入期間が2年以上であれば「専門実践教育訓練給付」を受けることができます。
教育訓練給付金では、教育訓練の受講費用の一部が支給されます。支給率は、教育訓練の種類によって異なっています。
受講費用には、教育訓練を受講するために支払った入学料と受講料を指し、資格試験の受講料や交通費などは含まれません。
なお、受講費用が4,000円を超えない場合は、教育訓練給付金は支給されません。
1.専門実践教育訓練
教育訓練の受講中に、受講費用の50%が支給されます。受講修了後に資格を取得しかつ受講修了日の翌日から1年以内に雇用され雇用保険の被保険者となった場合は、受講費用の20%が追加で支給されます。
給付金には上限額があり、訓練期間によって以下のように決められています。
<教育訓練受講中の給付金>
・3年の場合:上限120万円
・2年の場合:上限80万円
・1年の場合:上限40万円
<教育訓練修了後の追加の給付金>
・3年の場合:上限168万円
・2年の場合:上限112万円
・1年の場合:上限56万円
2.特定一般教育訓練
特定一般教育訓練の修了後に、受講費用の40%相当額が支給されます。給付金の上限は20万円となります。
3.一般教育訓練
一般教育訓練の修了後に、受講費用の20%相当額が支給されます。給付金の上限は10万円となります。
教育訓練給付金では実際にどのくらいの金額が支給されるのか計算をしてみましょう。
①「介護職員初任者研修」を受講する場合
介護職員初任者研修は「一般教育訓練」または「特定一般教育訓練」に該当します。
例えば、介護職員初任者研修を専門学校で学ぶときに入学料と受講料の合計が66,000円だったとします。
数か月間学校に通い無事に修了できたら
「一般教育訓練」であれば66,000円×20%=13,200円
「特定一般教育訓練」であれば66,000円×40%=26,400円
以上の額の給付金がハローワークより受講者本人に支給されます。
②「ケアマネジャー(介護支援専門員)」の場合
ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得するための講座は「一般教育訓練」または「特定一般教育訓練」に該当します。
例えば、介護支援専門員実務研修を専門学校で学ぶときに入学料と受講料の合計が86,000円だったとします。
数か月間学校に通い無事に修了できたら
「一般教育訓練」であれば86,000円×20%=17,200円
「特定一般教育訓練」であれば86,000円×40%=34,400円
以上の額の給付金がハローワークより受講者本人に支給されます。
介護分野で教育訓練給付金の対象となる資格と教育訓練給付金の種類、支給率についてご紹介します。
■介護職員初任者研修
一般教育訓練20%・特定一般教育訓練40%
■介護職員実務者研修(介護福祉士養成講座と一体的な取り扱いとして)
専門実践教育訓練50%(最大70%)
■介護福祉士
専門実践教育訓練50%(最大70%)
■介護支援専門員実務研修
一般教育訓練20%・特定一般教育訓練40%
■喀痰吸引等研修
一般教育訓練20%・特定一般教育訓練40%
■福祉用具専門相談員
一般教育訓練20%・特定一般教育訓練40%
教育訓練給付金の申請期限は、すべての種類で共通して受講修了日の翌日から1か月以内となります。
また、専門実践教育訓練に関しては受講中の給付があるため、受講中の給付金申請の期限は受講開始日から6か月ごとの期間末日の翌日から1か月以内となります。
例えば、4月1日受講開始であれば10月1日から1か月以内が支給申請期間となります。
「専門実践教育訓練」と「特定一般教育訓練」を受講して教育訓練給付金を受け取るには、訓練受講前にも申請手続きが必要です。
受講開始前に必ずハローワークに行き、訓練対応キャリアコンサルタントによる教育訓練前キャリアコンサルティングを受ける必要があります。その後、ハローワークで受給資格の確認が行われます。
ただし、ハローワークによる受給資格の確認は、教育訓練の受講開始日の1か月前までに行うこととなっているため、それよりも前にキャリアコンサルティングを受けるようにしましょう。
<教育訓練の受講開始までに必要な書類>
(専門実践教育訓練と特定一般教育訓練)
・教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
(マイナンバーの記載欄があるので必ず記載)
・訓練前キャリアコンサルティングで交付された「ジョブ・カード」
(発行から1年以内のものでなければいけません)
・本人及び住所確認書類
(マイナンバーカード、運転免許証、住民基本台帳カード(写真付き)など)
・個人番号の確認書類
(マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、個人番号記載の住民票の写し)
・身元(実在)確認書類
・写真2枚
(基本的に3か月以内に撮影されたもので、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm。ただし、マイナンバーカードの提示により省略することが可能)
・払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
(申請時に本人名義の通帳またはキャッシュカードを提示すれば金融機関の確認は不要)
・専門実践教育訓練給付及び特定一般教育訓練給付再受給時報告
(過去に専門実践教育訓練給付及び特定一般教育訓練給付を受給したことがある場合に必要)
・郵送の場合は証明書などの添付書類
(郵送での提出はやむを得ない理由があると認められた場合に限ります)
<教育訓練の受講開始までの手続き>
ステップ1
教育訓練給付の支給条件を満たしているかどうかを事業主やハローワークに確認します。
ステップ2
取得したい資格や学びたい講座について、厚生労働省の「厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」で検索し、講座の申込をします。
ただし、専門実践教育訓練や特定一般教育訓練に関しては、受講開始日の1か月前までに各種手続きを完了しなければ給付金を受け取れないため十分に余裕を持った日程となるよう注意しましょう。
ステップ3
ハローワークに連絡し教育訓練前キャリアコンサルティングを受ける日程を決めます。
教育訓練前キャリアコンサルティングについてはどこのハローワークでも行っていますが、可能な限り、申請者本人の住所を所轄するハローワークで受けると今後の手続きも進めやすくなります。
ステップ4
訓練対応キャリアコンサルタントによる教育訓練前キャリアコンサルティングを受けます。
このときに受講前手続きに必要な教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票やジョブ・カードが交付されます。
ステップ5
教育訓練前キャリアコンサルティングで交付を受けた書類へ必要事項を記入の上、「教育訓練の受講開始までに必要な書類」を準備して申請者本人の住所を所轄するハローワークに提出します。
ステップ6
ハローワークによる受給資格の確認が行われ、問題がなければハローワークから教育訓練給付金の受給資格者証(専門実践教育訓練)または受給資格確認通知書(特定一般教育訓練)が交付され、受講を開始することができます。
受講修了後は一般教育訓練給付も含め、すべての教育訓練で支給申請を行う必要があります。
<給付金の申請に必要な書類>
1.専門実践教育訓練の場合
・教育訓練給付金の受給資格者証
(受講開始前にハローワークより発行されたもの)
・教育訓練給付金支給申請書
(指定教育訓練実施者から用紙が配布されます)
・受講証明書または専門実践教育訓練修了証明書
(指定教育訓練実施者から教育訓練の修了(見込みを含む)が認定された際に発行されます)
・領収書
(支払った教育訓練経費について、指定教育訓練実施者より発行されたもの)
・返還金明細書
(教育訓練経費の一部が指定教育訓練実施者から本人に対して還付される場合またはされた場合に、発行されます)
・教育訓練経費等確認書
・専門実践教育訓練給付最終受給時報告
(最後の支給単位期間について教育訓練給付の支給を受けようとする場合に必要)
・専門実践教育訓練給付追加給付申請時報告
(専門実践教育訓練修了後、資格取得等により追加支給する場合に必要)
・資格取得を証明する書類
(資格取得等をしたことにより支給申請する場合に必要)
・郵送の場合は証明書などの添付書類
2.特定一般教育訓練の場合
・受給資格確認通知書
(受講開始前にハローワークより発行されたもの)
・教育訓練給付金支給申請書
(指定教育訓練実施者から用紙が配布されます)
・教育訓練修了証明書
(指定教育訓練実施者から教育訓練修了が認定された際に発行されます)
・領収書
(支払った教育訓練経費について、指定教育訓練実施者より発行されたもの)
・本人・住所確認書類
・個人番号確認書類
・身元(実在)確認書類
・返還金明細書
(教育訓練経費の一部が指定教育訓練実施者から本人に対して還付される場合またはされた場合に、発行されます)
・教育訓練経費等確認書
・特定一般教育訓練給付受給時報告書
・郵送の場合は証明書などの添付書類
3.一般教育訓練の場合
・教育訓練給付金支給申請書
(指定教育訓練実施者から用紙が配布されます)
・教育訓練修了証明書
(指定教育訓練実施者から教育訓練修了が認定された際に発行されます)
・領収書
(支払った教育訓練経費について、指定教育訓練実施者より発行されたもの)
・キャリアコンサルティング費用の関係書類
(キャリアコンサルティングを受け「キャリアコンサルティングの費用に係る領収書」「キャリアコンサルティングの記録」「キャリアコンサルティング実施証明書」がある場合に提出)
・本人・住所確認書類
・個人番号確認書類
・身元(実在)確認書類
・返還金明細書
(教育訓練経費の一部が指定教育訓練実施者から本人に対して還付される場合またはされた場合に、発行されます)
・払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
・教育訓練経費等確認書
・郵送の場合は証明書などの添付書類
<受講後~給付金申請の手続き>
ステップ1
無事に教育訓練を修了したら、指定教育訓練実施者から教育訓練給付金支給申請書、教育訓練修了証明書、領収書、返還金明細書(還付がある場合)などが交付されます。
ステップ2
指定教育訓練実施者から書類を受け取ったら速やかに必要事項を記入の上、「給付金の申請に必要な書類」を準備して、申請者本人の住所を所轄するハローワークに提出します。
ステップ3
専門実践教育訓練の場合、受講修了後に資格を取得しかつ受講修了日の翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合はさらに20%が上乗せされ追加支給されます。
この場合、資格取得前に雇用保険の被保険者として雇用されその後、資格を取得した場合は資格取得した日の翌日から1か月以内に追加の支給申請を行います。
先に資格取得し受講修了日の翌日から1年以内で雇用保険の被保険者として雇用された場合は雇用された日から1か月以内に追加の支給申請を行います。
教育訓練給付金は、支給決定を受けた本人の普通預(貯)金口座への口座振り込みによって支給されます。
振り込みの時期については厚生労働省の業務取扱要領に明確な記載がありませんので、教育訓練の種類やハローワークでの事務処理の状況等によって異なります。具体的な時期については、支給申請書を提出したハローワークへご確認ください。
なお、教育訓練給付金の申請期間が受講修了日の翌日から1か月以内と大変短い期間であることから焦って提出してしまうと書類の不備が多くなりやすくなり審査期間が長くなってしまうことがあります。
修了が見込まれる状況になったときからあらかじめ用意ができるものは準備しておくとよいでしょう。
教育訓練給付金の対象となる教育訓練経費は、基本的に入学料と受講料となります。
したがって、これらに該当しない費用については教育訓練経費にはなりません。具体的には以下の費用については教育訓練経費には該当しません。
・検定試験の受験料
・補助教材費(受講に当たって必ずしも必要ではないもの)
・教育訓練の補講費用
・指定教育訓練施設が実施する各種行事参加のための費用
・学債など将来受講者に対して現金還付が予定されている費用
・受講のための交通費
・パソコンなどの器材の費用
・クレジット会社に対する手数料
また、教育訓練費用であっても事業主が申請者に対して教育訓練の受講に伴い手当などを支給する場合は、実質的に受講費用の補助とみなされ、教育訓練経費からは差し引かれます。
Q.在職中でも教育訓練給付金の制度は利用できますか?
教育訓練給付金の対象者の条件について、最初に確認することが受講開始日において在職中でかつ雇用保険に加入しているかどうかになります。
雇用保険に加入していれば、その加入期間によって教育訓練給付金の対象の可否が判定されます。
Q.教育訓練給付金は、何度でも申請できますか?
教育訓練給付を過去に受けたことがある場合は、前回の受講開始日以降で雇用保険の加入期間が3年以上となれば教育訓練給付の対象者になります。
なお、平成26年10月1日以降に教育訓練給付金を受給した場合は「支給決定日」から受講開始日前までに3年以上経過していることも条件になります。
仕事のために資格を取ろうとはしたもののどうしても費用面で躊躇してしまうというケースは少なくありません。
こんなときに教育訓練給付金制度により費用面でのサポートを受けられることは資格取得をより前向きにとらえられるようになり大きな励みにもなります。
ぜひとも教育訓練給付金制度を活用して積極的なスキルアップを図っていただければと思います。
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