転職活動で、複数の企業の選考が並行するのは珍しいことではありません。先に他社から内定通知が来て、面接を辞退するケースもあり得ます。就職活動中に家庭の事情が変化したり、希望条件や気持ちに変化が起こることもあるでしょう。
辞退そのものはNGではありませんが、企業や事業所にとっては、選考の再調整を余儀なくされる場合もあり、少なからず迷惑をかける行為であることも事実。
そこで、面接辞退の際の連絡方法や、誠意ある伝え方などについてご紹介します。
1.面接を辞退するときのマナー
転職活動・就職活動で面接を辞退する際には、以下の点は
マナーとして必ず守るようにしましょう。
1. 連絡は「できるだけ早く」が鉄則
自分から応募先に辞退を申し出るのは、気が重いことかもしれません。ですが「明日伝えよう」と先延ばししていると、どんどん言い出しづらくなるもの。
面接辞退を決断したら、できるだけ早く連絡しましょう。
必要な人材を採用しようとするなかで面接辞退者が出れば、企業や事業所は採用予定の再調整が必要になるかもしれません。中には、人員の確保が急務の施設もあるかも。
一日でも早く連絡することは、応募先への重要な配慮です。
●面接の無断キャンセルは絶対にNG!
「断りづらい」とズルズル連絡を引っ張り、挙げ句の果てに、面接をすっぽかすというのは最もやってはいけないことです。あなたとの面接のために業務をやりくりし、時間を作って待っている採用担当者にしてみれば、裏切られた気分でしょう。
「どうせこの会社には入社しないのだから」と軽く考える人もいるかもしれませんが、世の中はそんなに甘くありません。業界内では人の交流や情報のやりとりも多くあります。転職時の社会人としてのルール破りが伝わり、後から足を引っ張ることになりかねません。
2. 連絡手段はメールでも、電話でもOK
辞退の連絡は、
面接日まで余裕がある場合なら、基本的にメールでも、電話でもOKです。ただ、電話の方がより誠意は伝わります。メールをしたあとに、電話で直接謝罪の言葉を伝えるのがもっとも丁寧な形でしょう。
連絡するときは、手段にかかわらず、営業時間内がベター。ただし、
始業直後やお昼時など、業務が忙しい時間帯の電話を避けるのがマナーです。
●前日、当日の辞退は必ず電話で!
連絡は余裕を持って早めにすべきですが、やむを得ず、面接の前日や当日になってしまった場合は、必ず「電話で」連絡をしてください。メールは、送付先の採用担当者が必ずしも、すぐに確認できるとは限らないからです。「とりあえずメールは送ったから」という態度は無責任。社会人としてのマナー違反です。
3. お詫びと感謝の気持ちを伝える
辞退の連絡では、選考スケジュールの再調整などの迷惑をかけることへのお詫びと、忙しいなか、手間や時間を割いてもらったことへの感謝を伝えることも大切です。
2.面接辞退の理由は正直に言うべき?
基本的に、
辞退の理由を詳しく説明する必要はありません。特にメールでは「一身上の都合により」のような一般的な理由でOKです。
電話で、先方担当者からもう少し具体的な理由を聞かれた場合は、相手に納得してもらえるよう答える準備はしておきましょう。
ただ、正直に答えれば良いというわけではありません。「残業が多そうだから」のように、
応募先への不満と受け取られかねない理由はNG。相手に対して失礼のない内容を、できるだけ簡潔に伝えることがポイントです。
<面接辞退の理由例>
・一身上の都合により
・諸般の事情により
・他社から内定をいただいたため
・家庭の事情により
・現職の職場の事情により、予定通り退職できなくなったため
・先日ご説明いただいた業務内容が、めざす専門性と相違があると気づいた
・勤務地の希望が叶わないため
・体調不良のため就業が難しくなった
3.メールで面接辞退するときの例文
<メール例文>
件名:
【面接辞退のご連絡】○○ ○○○(フルネーム)(※1)
本文:
株式会社△△△△
採用担当 □□様
お世話になっております。
○月○日○時に面接のお約束をいただいております○○ ○○○です。(※2)
このたび一身上の都合により面接を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。(※3)
貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、辞退することになり、誠に申し訳ございません。(※4)
本来ならば直接お詫びすべきところでございますが、
このようにメールでのご連絡となりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。(※4)
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。(※5)
―――――――――――
○○ ○○○
〒000-0000
住所
090-0000-0000
メールアドレス
―――――――――――
<ポイント>
※1 メールの件名には、「面接」「辞退」のワードを入れ、用件が一目で伝わるようにします。件名に
自身のフルネームも入れておくと良いでしょう。
※2 面接予定日を記載します。
※3 辞退する理由については、基本的に「一身上の都合により」あるいは「諸般の事情により」でOKです。
※4 「貴重なお時間をいただいたにもかかわらず」「誠に申し訳ございません」など、
これまでの感謝とお詫びの気持ちを伝えます。さらに、直接ではなく、
メール連絡で済ませてしまうことへの謝罪の言葉を入れると丁寧さが伝わります。
※5 最後は、「貴社の益々のご発展を~」というビジネスメールとしての定型文で締めると良いでしょう。
4.電話で面接辞退するときのフレーズ例
<電話連絡のフレーズ例>
応募者:お世話になっております。○月○日に面接のお約束をいただいております○○ ○○○と申します。(※1)
採用担当の△△様はいらっしゃいますでしょうか?
先方:少々お待ちください。
採用担当:お待たせ致しました、△△です。
応募者:お世話になっております。○月○日に面接のお約束をいただいている○○ ○○○です。(※1)
大変恐縮ですが、諸般の事情により面接を辞退いたしたくご連絡いたしました。(※2)
採用担当:それは残念です。差し支えなければ、辞退の理由をお聞かせいただけますか?
応募者:実は、同時期に応募していた別の事業所から内定をいただきました。改めて自分の適性をどう活かすかを考え、悩んだ末に、別の事業所にお世話になることを決めました。(※3)
採用担当:そうですか、わかりました。
応募者:貴重なお時間をいただきましたのに、辞退することになってしまい、誠に申し訳ございませんでした。(※4)
それでは、失礼いたします。
<ポイント>
※1 名乗る際はフルネームで。また、
面接予定日を告げると相手にもわかりやすくなります。
※2 面接辞退の理由は、基本的に「一身上の都合」「諸般の事情」とするのが無難です。
※3 詳しい理由を求められたときは、相手に失礼のない内容で簡潔に答えましょう。
※4 最後に、自分のために時間を割いて面接の設定などを行ってくれた担当者に、
感謝と謝罪の気持ちを伝えるのを忘れずに。
5.安易な辞退は避け、辞退の判断が正しいか、再度考えよう
面接辞退の連絡は速やかに行う必要がありますが、結論を急ぐ必要はありません。連絡をする前に、
辞退が妥当な判断か、回避する手段はないか、今一度、熟考することをオススメします。
たとえば、「面接予定日に他の企業の面接が重なった」「他の用事と重なっていた」などの場合は、日程調整をお願いするという手段も可能です。
あるいは、「介護という仕事が本当に向いているのか迷いが出た」「自分のスキルでやっていけるか不安になった」というような場合は、そこで進むのを止めるのではなく、まずは面接に行ってみるというのも選択肢のひとつです。
面接の場を利用して、
自分の疑問、不安を正直に話してみたり、職場の雰囲気を自分の目で確認することにより、納得のいく判断ができるかもしれません。
辞退は最終手段です。安易に辞退してしまうのではなく、後悔のないよう自分の判断と向き合いましょう。それでも面接を辞退するという結論に至れば仕方ありません。その際は、できるだけ早く先方に連絡しましょう。
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