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2014年06月02日

食の好みのミスマッチが生む、宅配弁当の悲劇 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

jikenbo54毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「宅食サービスが生む思わぬ事態」という話題を紹介します。

ライフスタイルの変化による核家族化の進行や単身家庭の増加、食の安全に対する意識の高まりなどにより、宅食サービスは拡大の一途。民間調査機関によれば、2008年に1兆5000億円強だった宅食サービス市場は、2012年には1兆8000億円程度にまで伸長した。人間が生きていく上で欠くことの出来ぬ“食”を保証してくれるのが宅食サービスだが、一部ではこれが老人にとって負担となっているケースも存在するようだ。

都内の施設に勤務するBさんは、サービス利用者の家を訪ねた際、冷蔵庫が宅配弁当で一杯になっているようなケースを時折目にするという。宅配弁当は、独居老人だけでなく、家族と同居しているものの、家族が働きに出ているような高齢者世帯が契約している場合も多いが、その弁当が高齢者本人の口に合わないのか、食べずに冷蔵庫にとりあえず置いておく例が存在するという。

都内に住むCさんは、1つの典型的な例だろう。Cさんは息子と2人暮らしだが、息子は日中働きに出ているため、昼と夜の2食を配達してもらえるよう、息子が宅食サービスを申し込んだ。典型的な昭和男で、料理が一切できないCさんは好き嫌いが多く、放っておけば贅沢なものばかり食べてしまうタイプ。そんなこともあって息子は宅食サービスを申し込んだのだが、父はその弁当にほとんど手をつけず、一時は仕事から帰宅した息子がその弁当を食べていたという。

こうした例に共通するのは、今の高齢者世代は、食べ物を捨てることに猛烈な抵抗がある年代だということ。食べなければ貯まる一方なのはわかりきったことなのだが、捨てることには抵抗があるため、とりあえず冷蔵庫に置いておき、気がつけば冷蔵庫が弁当で一杯に敷き詰められているという事態もあるという。

Cさんの場合、「なんで食べないんだ?」「お前が食べてくれ」「じゃあ金の無駄だから契約は打ち切る」「俺の食事は誰が……」といった不毛なやりとりがしばらく続き、結局、父が自分でメニューを選べる配達弁当屋に委ねることで、ひとまず問題は解決したという。「親孝行代わりに」と、宅食サービスを契約する例は少なくないが、食べる本人の食の好みをしっかりと確認することが大切なようだ。

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