毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、愛知県で起こった徘徊・死亡事故の判決に関する話題を紹介します。
2007年、愛知県の認知症の91歳の男性が徘徊して電車にはねられ死亡した事故で、名古屋高裁は2014年4月24日、妻に360万円の賠償を命じる判決を下した。1審では、男性の妻と長男に対し720万円の支払いが命じられ、高裁では半額に減じられた今回の判決。しかしこの判決を聞いた都内に住む60代の女性Zさんは憤りを隠さない。
Zさんは現在、認知症の70代の夫と2人で暮らしている。夫は2年前まで長らく教師を勤めていたものの、脳梗塞に襲われたことで意識障害に見舞われ、記憶を断片的に消失。退院後は自宅で生活しており、食事や入浴などの介助は必要ないものの、夫が出かけた際に、道に迷って警察に保護されたことが2回あるという。
夫には「なるべく1人で出かけないように」と申し付けているものの、Zさんとて四六時中夫の面倒を見ているわけにはいかない。何しろ夫が1人で出かけて保護されたのは“2回だけ”なのだ。しかしZさんの家のすぐ近所には踏切があり、夫がその近辺を徘徊しないとも限らない。それゆえ上述の判決についてZさんは「『365日、24時間監視していろ』ということですか?」と、述べている。
高裁は、事故について、「妻については配偶者として男性を見守る民法上の監督義務があった」と判断し、賠償を命じた。しかしこの判決に対し、ツイッター上には、
「うーん、40年間以上寄り沿って生きてきた結末が賠償金って」
「結局高額な賠償が必要となると、自宅で介護するのはだめってことじゃないのか?」
「目を離した隙に外出されても責任を取れというのは酷」
といった声があがっており、「それでも高い賠償だと思う。老老介護はまだまだ増えるし、こういう事故はまだまだ起こるはず」という指摘も登場。Zさんのみならず、実態にそぐわぬ判決に対し、不満の声があがっている。
※判決後、JR側は5月8日、男性の妻は9日に最高裁に上告している。
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