毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、
「涙の敬老の日」という話題を紹介します。
今年の敬老の日はどうでしたか?
2020年の敬老の日は、秋分の日と重なり4連休に。
老人ホーム・介護施設にとって、敬老の日は家族を招いたイベントを行うなど、大事な日。
しかし、今年はコロナ禍と重なったことで、珍事件もあったようだ。
敬老の日は特別に面会OK!家族も楽しみ
母親が介護施設に入居している、都内在住のヤベさん。母親が楽しみにしていた敬老の日が、とんでもない1日になったという。
「母は数年前から隣の県の介護施設で暮らしています。これまでは1か月に1~2度は施設を訪ねていましたが、新型コロナ騒動で今年の春から面会は禁止。
しかし、敬老の日は面会OKとなったため、妻や子どもも連れ、面会に行くことにしました。そう伝えると、母も大喜びしていました。
敬老の日の当日は少し早めに出発しましたが、見通しが甘すぎました…」
4連休の落とし穴!面会に向かっていたら…
「施設までは片道100km程度で、道が空いていれば1時間強で着く予定だったんです。
お盆や夏休みもまったく渋滞がなかったとニュースで見ていたので油断していましたね。
出発してみると、都内を出るまでに2時間弱を要し、トイレ休憩のためにサービスエリアに入るのに30分近くかかる始末。遅くとも10時には着けると思いましたが、着いたのは13時半でした。
施設には移動途中に連絡しましたが、心配性の母は怒り心頭。
顔を合わすなり怒り出し、久々の面会は散々でした」
これまで外出を控えていた人々が4連休で一斉に外出し、各地の高速道路では渋滞が発生。ヤベさんはその日、10時間以上ハンドルを握り続けたという。
「オンラインより直接会いたい」要望に応えるための工夫は?
一方、都内のある介護付き有料老人ホームでは、万全を期したはずのコロナ対策が不評だったという。
施設で働く介護士のマルヤマさんはこう語る。
「他の施設では、すでに面会禁止を解除したところも多いようですが、ウチの施設ではまだ面会は禁止しており、もっぱらオンライン面会になっています。
オンライン面会を始めた当初は、『毎日、孫の顔を見ながら話せる』と、入居者の方々も大喜びでしたが、やはり直接会いたくなるもの。
そこで敬老の日は面会専用の場所を設け、アクリル板越しに面会する形を取りましたが、これが正解だったのかどうか……」
コロナ対策万全の部屋が不評?!「まるで●●」
「直接面会できることに喜んで頂いたご家族もいらっしゃいましたが、目の前にいるのにアクリル板越しにしか会えない状況が辛いのか、涙を流し始めてしまう入居者さんがいたんです。
そんな入居者さんを見たご家族の方も泣き出してしまい、楽しい時間になるはずが、まるで別れの瞬間のようになる例が相次ぎました。
投書コーナーには、『刑務所の面会のようだった』という声も寄せられ、これには職員一同、返す言葉がありませんでした」
利用者さんや家族のため、介護士は日々奮闘!
精一杯の努力をしたはずが、かえって入居者やご家族を傷つけたのではないかと、施設の介護士たちは反省と後悔の日々を送っているのだそう。
客観的に見れば、安全面で万全を期した上で、面会の場を設けたのは、利用者のためにも家族のためにも良い選択だったと思う。
介護現場では、利用者さんのため日夜様々なアイディアを出しながら奮闘している。
時には、思い通りにはいかない難しさに直面するケースもあるようだが、その時々、一人一人のために努力することは決して無駄ではないはずだ。