毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「介護の職場チェックの方法は?」という話題について紹介します。
介護の仕事をしたいのに、不安で応募できない専業主婦
就職先を決める際、職場のことを少しでも知ってから働きたいと思うのは誰でも同じ。
大学生の就職活動でも、最近ではインターンを行って、企業側と学生側の双方が理解を深め合うことで、よりよいマッチングを実現する取り組みが盛んに行われている。
自分にとって合うか、合わないかを探るには企業を訪問するのが一番だが、現在都内の介護付き有料老人ホームで働くハタケヤマさんは、少し変わった方法で施設の様子を調べたという。
ハタケヤマさんは長年専業主婦として過ごし、40代なかばになってから介護の世界で働くことを志した女性。
現在は介護スタッフとして働きはじめてすでに10年近く経つベテランの彼女だが、働き始めるまでには葛藤があったという。
ハタケヤマさんが語る。
「私は短大を出た後、2年ほど働いてすぐに結婚しました。その後は専業主婦でしたし、社会人生活に憧れがあったんです。40代になって子どもの手が離れたので、夫に『働きたい』と言ってみたところ、夫は快諾してくれました。
ただ、なかなか『これ』という仕事がなくて迷っていたところ、知り合いから介護の仕事を勧められ、そのような仕事を探すようになりました」
とはいうものの、20年以上にわたって専業主婦をしていたため、働くことに不安があり、「ここもダメ、あそこもダメ」と、選り好みをしていたハタケヤマさん。
そんな時に偶然、ある折り込み広告を見かけたという。
現場を知れば“初めての介護の仕事”も怖くない?
ハタケヤマさんはこう続ける。
「いつまで経っても働き先が決まらず、夫からも『いつから働くんだ?』と言われるようになった頃、近所に新設される老人ホームの内覧会の折り込み広告が入っていたんです。
それまでも、介護の仕事を勧めてくれた友人には、『とりあえず面接を受けて、合わなそうなら断ればいいじゃない』と言われていたのですが、自分の性格だと嫌でも断りきれない気がしていて……。
けれども内覧会で訪れれば、職場の雰囲気を知ることができるし、“面接を受けたのに、こちらから断る”っていうこともしなくていいじゃないですか。それで内覧会に行ったんです」
実際に内覧会に行ってみると、担当のスタッフは明るくハキハキとしてとても感じが良く、新築だけあって施設も大変キレイ。ハタケヤマさんは面接を受けることを即決しました。
「実は……」と、自分が内覧会に来た理由を正直に話すと、スタッフは「全然構いませんよ。好きなだけ見ていって下さい。質問があったら何でも聞いて下さい」と言ってくれたという。そして面接を受けて採用が決まり、今に至っている。
その時、内覧会を担当したスタッフはこう語る。
「老人ホームで初めて働く方は、『自分でもできるかな』とか、『仕事は辛くないかな』とか、不安があると思うんです。
たぶんほとんどの施設では、『就職を考えているから職場を見せて欲しい』と言えば、見学させてくれると思いますが、ハタケヤマさんのように『見学したら、断りにくくなるんじゃないか』と、考える気持ちは分かります。
だから、職場の雰囲気を知りたいという理由で内覧会を使うのは、ウチの場合はまったく問題ないですね」
ハタケヤマさんが見た折り込み広告は新設を告げるものだったが、内覧会を随時行う施設は少なくない。
「働きたいので見学させてほしい」と、お願いするのが基本であることは間違いないが、ハタケヤマさんのような人であれば、“裏技”として、そのような方法もあるようだ。
ただし今回のケースのように、必ずしも相手が好意的に受け取ってくれるとも限らないので注意は必要といえそうだ。
公開日:2017/10/2
最終更新日:2019/11/5