毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は「終活トラブル」について紹介します。
学生が卒業後の職を求める「就職活動=就活」や、結婚相手を見つけるための「婚活」、妊娠や出産に向けた「妊活」など、近年「○活」が大流行。
介護サービスを受けている人やその家族にとって身近な存在となるのは、誰もが避けることのできぬ“死”の準備をする「終活」だが、この終活において、トラブルが多発している。
改めて終活を定義すれば、それは「人生の終わりのための活動」とでも言うべきもの。
財産の整理や遺産相続、お墓の準備、葬儀の手配など、人の死に伴って発生する付帯事項について、生前から準備しておくことが、「終活」という単語とともに、ちょっとしたブームとなっている。
しかし、老人たちが「死後、周りに迷惑をかけたくない」「自分らしく最期を迎えたい」という健気な想いから取り組む終活において、それを食い物にしようと手ぐすねを引いて待ち構えている悪徳業者が存在することも事実。消費者庁は、2013年初めて終活に関するトラブルについて報告したが、それによると、2012年度は葬式にまつわるトラブル報告が686件、このうち高齢者の相談が4割近くを占めていたという。
消費者庁によれば、葬儀トラブルには「価格やサービス内容について十分な説明がない」「質素な葬儀を希望したのに高額な料金を請求された」といった手口が多く、葬儀に関する相談例は、2003年の210件から、2012年には686件に急増している。
介護施設に入居した老人たちは、介護の担い手が家族から専門スタッフに委ねられたこと、さらに自宅を離れて高齢者が集う施設に入居したことで、終活を本気で考え始めるような例が多い。が、老人の周りに常駐している介護スタッフが、財産や葬式、お墓などに関する悩みに相談に乗ることはご法度。そういった意味では、たとえ両親や祖父母などを介護施設に預けても、家族が密に連絡を取ったり、頻繁に訪ねたりすることが、終活トラブル回避の最良策と言えるだろう。
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