毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「任侠ヘルパーって、実在する?」という話題について紹介します。
刺青が入っていてもヘルパーになれる?
少子高齢化が国民的な問題となり、介護関連のニュースを見かけない日はないといっても過言ではない。それが昨今の日本の社会状況だ。それゆえ、介護をテーマとした小説・ドラマ・映画なども数多く世に発表されている。葉真中 顕(はまなか あき)が2013年に発表した老人犯罪がテーマの小説『ロスト・ケア』は、日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した。
介護を扱った作品の中でもとりわけ有名なのは、2009年にSMAPの草彅剛がヘルパーを演じた『任侠ヘルパー』だ。同作は、「ひょんなことから『介護士』となった任侠社会の面々が、介護問題に潜む“闇”に直面し、破天荒ではあるが熱意あふれる方法で問題を解決していく」(公式サイトより)という作品。2012年には映画公開もされた。
主人公の草彅剛が演じるヘルパー・翼彦一には刺青が入っているという設定だったが、実際に刺青が入っている人がヘルパーになることはできるのだろうか?
都内の事業所で10年以上の勤務経験を持ち、リーダーとして育成や採用も担当する40代の女性・Hさんはこう語る。
「私が今まで働いてきたヘルパーの中には、刺青やタトゥーを入れている人はいませんでした。というか、提出資料や面接などで『刺青を入れていますか?』と聞く項目はないですし、自分から『刺青を入れているんですけど…』と申し出る人もいませんでしたし…、そういう意味では、『いなかったはず』ということになりますね(苦笑)。
刺青が洋服で隠せる部分なら、問題ないんじゃないでしょうか。ヘルパーの資格に『刺青の方はお断り』という項目はないはずですし、仕事ができればどこでも雇ってくれると思いますよ。
逆に、どうしても隠せない部分に刺青が入っていると難しいと思います。我々が仕事をする相手はほとんどがお年寄り。高齢の方にとっては、『刺青=怖い人』を想像するでしょうから、仮に刺青が入っているヘルパーをウチが派遣したら、クレームが来るのは間違いないでしょう。ウチでは採用しませんね」
ネットで調査。「任侠ヘルパー」は、実在した!?
しかしこれはあくまでも現役ヘルパーのHさんに「もし刺青を入れたヘルパーがいたら…?」と想像してもらった話だ。実際に刺青が入ったヘルパーはいないのだろうか?ネットではこのような声があがっていた。
「同僚の女の子で10センチくらいの薔薇のタトゥーが入っている人がいました」
「隠していたタトゥーが訪問先に見られて、他の人に代えて!とクレームがきた事が…」
「足の甲全体に入っていますが、いくつかの介護施設で働いていました」
「私の施設にも刺青がある人がいますが、仕事中はその部分を隠してます」
「任侠ヘルパー」はともかくとしても、「刺青ヘルパー」は確かに存在するようだ。
今は、タトゥーをファッションの一部と考える人も多く、スポーツ選手や音楽業界はもちろん、刺青サラリーマンも増えている。
とは言え介護の仕事は、利用者に直接触れたり、自宅を訪問する仕事。やはり相手がどう思うかが重要だ。もし、面接や提出資料などで、刺青の有無について尋ねられ、あるのに無いと答えた場合、それがバレれば、それを理由にクビになる可能性はある。
「仕事中は必ず隠す」「聞かれたら正直に言う」というのが、現実的な着地点といえそうだ。